「出産準備金」新設は効果なし! 結婚、子育てが損になる国・日本…欧米との違いを専門家が解説

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 コロナ禍で少子化が加速、来年の出生数は80万人割れ必至の様相だ。政府は出産準備金として妊婦1人当たり10万円相当の支給や、伴走型子育て支援を始めようとしているが、これで歯止めがかかるものか。家族社会学の第一人者が指摘する少子化問題の原因と対策。【山田昌弘/中央大学教授】

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 日本の少子化は、いよいよ深刻度を増している。

 テスラ社のCEOイーロン・マスク氏がツイートした、日本は少子化によって将来消滅するだろうという予測は言い過ぎにしても、日本に住むわれわれにとっては、笑い話とはいえなくなっている。

 合計特殊出生率などさまざまな数字が躍っているが、最も深刻なのは、子どもの数の急減である。昨年1年間に生まれた子どもの数は、約81万人。コロナ禍があったとはいえ、低下のスピードが加速している。団塊世代(現在73歳前後)の読者も多いと思うが、そのピークの1949年には約270万人。団塊ジュニア(現在49歳前後)のピークの1973年には約209万人生まれていた。1980年には158万人になったが、1990年から2000年(現在32~22歳前後)にかけては、120万人前後生まれてその人数は安定していた。それが今や81万人である(掲載のグラフ参照)。20年前の3分の2、40万人減っている。これは、30年間少子化を放置した結果、少なくなった子どもの世代が出産期に入ったからで、今後も減少傾向は続いていく(今年前半は、昨年に比べ出生数が更に7%減っている。今年の出生数が80万人を切るのは間違いない)。

大学・専門学校の経営危機が深刻化

 この出生数減少は、さまざまな領域に悪影響を及ぼす。まず、教育業界に影響が出る。現在の大学生は、年間約120万人生まれた世代に相当する。それが徐々に減少し、20年後には、高校卒業者数は80万人台にまで減るのである。現在の大学入学者数は、ここ数年約70万人(短大高専含む)。専門学校進学者数が約28万人である。これだけ見ても、今から20年後の高等教育機関は大幅に過多である。進学率が多少上がったとしても、大学・専門学校の経営危機は深刻化するだろう。大学や専門学校教職員の大量失職が生じるのは避けられない。それより早く、幼稚園、私立高校等の経営危機は深刻化するのだが。

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