戦力外の大物選手で生き残るのは…130勝「金子千尋」はロッテが関心との声も

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社会人野球で活躍するケースも

 NPBで現役続行できなくても、海外や国内の独立リーグでプレーを続ける選手は少なくない。そんな中で近年増えているのが社会人野球でプレーを続けるケースだ。

 18年オフにはDeNAを自由契約となった須田幸太が古巣であるJFE東日本に復帰。翌年の都市対抗ではリリーフとしてフル回転し、チームを優勝に導くとともに、自身もMVPに当たる橋戸賞を受賞するなど大活躍を見せている。

 また、昨年中日を退団した武田健吾は三菱重工Eastに加入すると、外野の一角として定着。自チームでの都市対抗出場は逃したものの、ENEOSに補強選手として選ばれ、“助っ人”として本大会優勝に大きく貢献している。

 ちなみに、須田は現役を引退したものの、会社に籍を残しながら横浜商科大学の投手コーチを務めており、指導者としても新たなスタートを切っている。いきなり指導者としてアマチュアに復帰するよりも、企業チームでプレーすることでいろんな広がりが出ることは確かだろう。

野球以外知らないスター選手は敬遠されやすい

 ただ、社会人球界への道も決して簡単なものではないという。関東地区の社会人チーム関係者は以下のように解説する。

「まだ若い選手の場合は純粋に戦力として見られますが、実績のあるベテラン選手の場合は、それ以外の部分がどうしても求められることになります。そうなるとどうしてもプレー以外の面倒見の良さや、人間性の部分が評価対象になりますよね。また野球部員が本業に従事する時間は短いとはいえ、あくまでも“社会人”ですから、一般常識的部分が必要になってきます。高校からプロ入りして野球以外知らないというスター選手はどうしても敬遠されやすいと思います」

 須田は、JFE東日本に復帰した後はコーチも兼任しており、オープン戦などでは裏方の仕事をする姿もよく見られていた。プレー以外のそういった面も、プロ以外で野球を続けようとすれば、当然重要になってくることは間違いない。

 NPBから一度離れても独立リーグでプレーを続け、再びNPBに復帰するケースもあるが、多くはそれほど実績のない若い選手である。この道もベテラン選手にとっては“茨の道”と言えそうだ。果たして松田以外にも、プロアマ問わず“現役続行”を勝ち取るベテラン選手は出てくるのか。今後の動向に注目だ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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