北朝鮮ミサイル 日本にとって最大の脅威はダム湖の水中発射場から打ち上げられたKN-23
迎撃可能なICBM
「サイロは地下に隠されているのですが、軍事・偵察衛星の発達で、そのほとんどの位置が明らかになっています。更にICBMは発射態勢に入ると大量の赤外線を放出するため、衛星からのキャッチが容易です。それどころかサイロの蓋が開くところさえ、現在の衛星なら簡単に捕捉してしまいます」(同・軍事ジャーナリスト)
おまけにICBMは、宇宙に向かって高高度で上昇し、放物線を描いてターゲットを狙う。このため迎撃の確率は上がる。
「ICBMは発射のキャッチが容易ですから、迎撃システムも素早く稼働させることができます。アメリカと日本はシステムを共有しているので、仮に北朝鮮が日本に向かってICBMを発射したら、瞬時に把握し、情報を共有します。ICBMが放物線の頂点を描くところで、日米いずれかのイージス艦などから迎撃ミサイルが発射され、ICBMを破壊。迎撃ミサイルのテストは何度も行われており、いずれも高い命中率を記録しています」(同・軍事ジャーナリスト)
ICBMが相手国に与える脅威は、実のところ、どんどん減少しているというのがリアルな状況なのだ。そのため、近年ではSLBMに期待が集まっているという。
迎撃困難なSLBM
「ICBMの定義の一つに『有効射程が5600キロ以上』というものがあります。自国から直接、敵国を攻撃するのですから、射程は長く、大型のミサイルです。一方、SLBMは潜水艦に搭載するため、小型化が求められます。その結果、ICBMに比べると射程距離も短くなります」(同・軍事ジャーナリスト)
敵国に届かないミサイルを配備して何の役に立つのか──普通ならそう考えるが、SLBMを原子力潜水艦に搭載するとなると、全く意味が違ってくるという。
「原子炉は燃料を交換することなく、数十年というスパンで発電が可能です。しかも二酸化炭素は排出せず、豊富な電力で酸素と水を作り出すこともできます。このため原潜は極めて長期間の潜水を実現しました。アメリカ海軍の連続潜行は2カ月にとどめていますが、これは乗組員の負担などを考慮してのことです。実際はもっと長く潜行することができます」(同・軍事ジャーナリスト)
SLBMを搭載した原潜は出航すると、「母港にいないため、どこかに出撃した」ことだけは分かる。だが、その後を補足することは極めて難しい。
「原潜は隠密に行動できるという長所を最大限に活用し、有事の際は海中から敵国の近くに侵入します。そして海の中からミサイルを発射するのです。こうすることで、敵国は発射されたミサイルの捕捉が非常に困難になってしまいます」(同・軍事ジャーナリスト)
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