「日本人の7割は遺伝的に不安に陥りやすい」 特に注意すべきは「権力を持った高齢男性」…健康長寿を阻む孤独にどう立ち向かう?

ドクター新潮 ライフ

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定年で訪れる「ロンリネス」

 それでは、どうやったら孤独感は解消できるのでしょうか。

 孤独感は、主に「状態」ではなく「主観」の問題です。たくさんの人とつながっていればいいというわけではないものの、孤立という「状態」が「主観」をむしばんでいくことがあるのもまた事実です。ひとりだから孤独とは言い切れない一方、ひとりだと孤独感を覚えやすい。やはり、人とのつながりが「ゼロ」では、ソリチュードは難しいでしょう。

 とりわけロンリネスに陥りやすいタイミングは定年です。職場という居場所を失うと、それまで毎日8時間「埋められていた」のにそれがポッカリと失われてしまい、同僚もいなくなる。その時に備えて、本当は定年前に趣味ややりがいを見つけて職場とは違う居場所、家庭と職場以外の「サードプレイス」を見つけておくべきなのですが、すでに定年を過ぎ、ロンリネスな人はどうすればいいのか。

 人とのつながりを持つためには、良くも悪くもいや応なく人と接することになる地域活動やボランティア活動に参加するのが一番の近道です。

権力を持った人は「無礼で身勝手」

 しかしここで、特に男性は往々にしてつまずきます。冒頭で触れた「暴走老人」「わがままじいさん」になりがちだからです。プライドが邪魔をするのです。その傾向は課長より部長、部長より社長と、出世した人ほど顕著だといわれています。事実、行動学の研究で知られるカリフォルニア大学バークレー校のダッチャー・ケルトナー教授は、「権力を持った人はそうでない人よりも無礼で、身勝手、そして非論理的な行動をとりやすい」と指摘しています。

 その結果、定年後に参加した地域活動やボランティア活動で、「評価されない」「褒めてもらえない」「自分ほどの人間が“その他大勢”扱いされている」などとすねたり、ひがんだりして暴走老人化してしまい、疎んじられる。すなわち、周囲に受け入れられずロンリネスに陥る。従って、定年後の孤独感を解消するために新たなコミュニティーに参加するのであれば、定年前のプライドがいかに邪魔であるかを自覚する必要があります。

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