「日本人の7割は遺伝的に不安に陥りやすい」 特に注意すべきは「権力を持った高齢男性」…健康長寿を阻む孤独にどう立ち向かう?
幸せホルモンの分泌能力
孤独に対処するには、孤独とは何かを知る必要があります。
まず、日本人は孤独に陥りやすいといえます。脳内物質セロトニンが分泌されると心が穏やかになり、また前向きになれることから、セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれています。
このセロトニンの分泌能力は遺伝子によって異なり、その遺伝子は、セロトニンを多く分泌できる順に、LL型、SL型、SS型の三つに分類されます。そして、日本人はSS型が最も多く、全体の7割を占めるといわれています。日本人は遺伝子的に不安に陥りやすいといえるわけです。
そんな日本人にとって、互助を旨とする「ムラ社会」はピッタリ合っていました。戦後社会では、家族以外にも企業や町内会などの地域コミュニティーが「ムラ」の役割を果たし、「不安性」を抱えた日本人が孤独感に苛(さいな)まれることを防いできたのです。
親孝行ランキングで最下位
ところが、特にリーマンショック以降、個人主義、実力主義の風潮が広まっていきます。終身雇用制度が崩れ、企業の在り方もメンバーシップ型からジョブ型へと移行。同時に核家族化と、将来への不安から晩婚化・未婚化が進み、コミュニティーは壊れていきました。こうして日本は、先進国の中でもまれに見る「孤独社会」となっていった。つまり遺伝子的、また社会的にも、現代日本人は孤独に陥りやすいといえるわけです。
その結果というべきか、要因というべきか、国立青少年教育振興機構が日米中韓の4カ国の高校生に調査を行ったところ、親の世話をどうしたらいいか「分からない」と答えた割合は、中国2.9%、韓国7.7%、米国17.2%に対し、日本は31.5%にも達しました。親孝行ランキングで日本は最下位だったと分析されているのです。
このように日本人は孤独と“縁が深い”わけですが、次に知っておくべきなのは「孤独の意味」です。
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