宮本隆治アナが振り返る「NHK紅白」 北島三郎さんと小林幸子さんの登場で起きたハプニングとは

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退職後も続く歌手たちとの付き合い

 昨年の紅白の視聴率は1部(午後7時半~同8時55分)が世帯31.5%(個人23.4%)。2部(午後9時~同11時45分)が世帯34.3%(個人24.8%)。

 数字は年々下がり、昨年は過去最低だったが、それでも年末年始番組の中で断トツの高視聴率であることには変わりがない。紅白とは何なのだろう。

宮本「私は福岡出身で雪国生まれではないのですが、『風雪ながれ旅』を聞くと、故郷を思い出すんです。故郷と直結させてくれる、得も言われぬ不思議な時間帯。空間でしょうね」

 NHK退職後も宮本氏と歌手たちの付き合いは続いている。2012年に始まったCS歌謡ポップスチャンネルの「宮本隆治の歌謡ポップス☆一番星」でMCを務めているからだ。ベテランの大物から期待の新星まで既に200組以上が出演した。

 この番組に出演した八代亜紀(72)に勧められ、2年前にはYouTube「宮本りゅうじチャンネル」を開設した。毎週水曜日に更新している。

宮本「八代さんは自分で電車の切符を買ったことがないし、回転寿司にも行ったことがない人。その八代さんからYouTubeを勧められたので、『よし、やってみよう』と思ったんです」

 10月末にはそのYouTubeから生まれた企画が書籍になった。ベテランアナらしく声に関係するもので『老いはのどからやってくる』(サンマーク出版)。専門医の話も聞いた上で、老いとのどの関係、のどの鍛え方などを記した。

宮本「96歳の父親が2週間入院したところ、たちまち普段通りに話せなくなりました。病院内で話さなかったからです。のどは使わないと、すぐに衰えます」

 危機感を抱いた宮本氏は自分も実践しているオリジナルの「ハシカベ体操」を父親に教えた。暖をとるように「ハー」と腹式呼吸で言い、「シー」と細い息を長く吐き、「カー」とカラスのように声を上げ、「ベー」と言いながら舌を思い切り動かす。この体操などを繰り返したところ、父親は約3週間で以前のように話せるようになったという。

宮本「のどは筋肉の集合体です。のどの筋肉を鍛えると、嚥下や誤嚥のリスクも下がることが分かっています。のどは健康寿命に大きく関わっているんです」

 そう言う宮本氏自身はのどのトレーニングに余念がないこともあって、声や話し方がNHK時代と全く変わらない。

 それだけではない。得意ののどを生かし、門倉有希(48)とのデュエット曲「恋猫」もリリースした。

宮本「歌謡曲のいいところは聴いても歌っても自分が主人公になれるところ。例えば鳥羽一郎さんの『兄弟船』を聴くと、海の男になれるじゃないですか」

 紅白の総合司会は天命だったようだ。

宮本隆治(みやもと・りゅうじ)
1950年、福岡県北九州市生まれ。慶大文学部卒業後の1973年にNHK入局。「NHK歌謡コンサート」「NHKのど自慢」などの看板番組を担当。2007年、エグゼクティブアナウンサー職で退職し、フリーに。現在はCS歌謡ポップスチャンネルの冠番組「宮本隆治の歌謡ポップス☆一番星」のMC。2年前、古希の誕生日にYouTube「宮本りゅうじチャンネル」を開設。再生数が10万を超えることも。のどと長寿の関係やのどの鍛え方を解説した著書『老いはのどからやってくる』(サンマーク出版)を10月下旬に上梓。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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