最も自律神経が乱れる曜日は? 「ため息」は実は大切? コロナ禍でたまった体調不良のリセット法

ドクター新潮 ライフ

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なぜ整理整頓が重要?

 しかし実は、自律神経のバランスを整えるためにしっかり朝食を取ることを心がけている人でも、いざ家から仕事に出かけようとした段階で、すでに自律神経のバランスを乱してしまっているということが往々にしてあります。

 カバンの中に入れたと思ったスマホがない。鍵をしまったはずなのに見当たらない。どこに行ってしまったのか、カバンの中を必死にあさる。実は、この時点で自律神経は乱れているのです。あるべきものが見当たらない不安、どこかで落としてしまったのではないかという恐怖、すなわち自律神経が嫌う不測の事態が起きているからです。従って、当たり前のことと思われるかもしれませんが、整理整頓をしっかりしておく。ここから自律神経を整える第一歩が始まることを意識しておいたほうがいいでしょう。

パニック障害や不安障害、抑うつ気分

 自律神経は、文字通り自律しているので、普段、私たちがその働きを自覚することはできません。胃を悪くすれば胃痛として分かりやすい自覚症状が表れますが、「自律神経痛」はない。そのため、見過ごされ、軽視されがちです。

 しかし、ここまで見てきたように、自律神経のバランスの崩壊は、体のあらゆる不調の起因となり、死につながる病気をもたらすこともあります。自律神経が乱れ、血流が悪くなり、脳が活発に働かなくなり、判断力が鈍る。その結果、ミスやトラブルを引き起こし、そのストレスでさらに自律神経が乱れていく。結果、交感神経が優位な状態が続くとパニック障害や不安障害に、逆に副交感神経が優位な状態が長引くと活力が失われて、抑うつ気分になってしまう――。この悪循環に陥らないために、コロナ第7波と第8波本格襲来の狭間であり、外出がはばかられず動きやすい今こそ、「平時」の自律神経の状態にリセットすることが必要だと私は考えるのです。

小林弘幸(こばやしひろゆき )
順天堂大学医学部教授。1960年生まれ。順天堂大学医学部卒業、同大大学院医学研究科修了。アイルランド国立小児病院外科での勤務等を経て順天堂大学医学部教授に。自律神経研究の第一人者として知られ、多くのプロスポーツ選手やアーティストのコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも関わる。ベストセラーとなった『医者が考案した「長生きみそ汁」』など著書多数。

週刊新潮 2022年11月10日号掲載

特別読物「『第8波大襲来』前の狭間の今こそ『コロナ』と『加齢』で乱れた『自律神経』のリセット術」より

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