「兵士は畑で取れる…」ロシア軍の人命軽視が招く“惨状” 専門家は「第二次世界大戦から全く進歩してない」

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人道無視の死守命令

 先に紹介した朝日新聞の記事に《君たちは『肉』》という言葉が紹介されていたが、ロシア軍の“人命軽視”という伝統は相変わらずのようだ。

 CNN.co.jpは11月7日、「ロシア軍の『ヘルソン撤退』は偽装工作か ウクライナ」の記事を配信。南部の要衝ヘルソン市を死守するため、ロシア軍が“決死隊”を配置した可能性を伝えている。

《市内を流れるドニプロ川の左岸(東岸)に置かれた陣地は、右岸(西岸)陣地の援護に使われるとみられる》

《左岸へ移動したのはロシア軍の精鋭部隊や将校らで、右岸に残った部隊は退避経路を断たれ、最後まで戦うことを強いられている》

 ちなみに11月10日、時事通信は「ロシア国防相、州都ヘルソンから撤退命令 ウクライナ南部攻防、今後を左右」の記事を配信した。

 同じ日に毎日新聞も「ロシア国防相、ヘルソン市から撤退命令 ウクライナ『わな』警戒」の記事を配信した。

 2本の記事は共にYAHOO!ニュースのトピックスに転載された。

 ヘルソンを死守するのか放棄するのか、報道は分かれている。だが、いずれにしても、味方の犠牲を前提にしてロシア軍が作戦を立案したという事実が揺らぐことはない。

人海戦術の恐怖

「味方の損害を前提にするという作戦は、朝鮮戦争(1950~1953年)で中国義勇軍が採用した『人海戦術』が有名です。そのため、まるで中国軍の“お家芸”であるかのようなイメージが流布していますが、本来はロシア軍が伝統的に採用していた戦術です」(同・軍事ジャーナリスト)

 朝鮮戦争で中国軍は、ソ連軍の助言に従って人海戦術を採用した。ところが、あまりの被害の大きさに真っ青になった、というエピソードも伝えられているそうだ。

 ロシア軍には“著しい人命軽視”という体質がある。そのため昔から、「兵隊は畑で取れる」とか、「敵が1万発の弾薬を持っていても、素手の兵士が2万人いたら勝てる」といった喩えが流布されてきた。

「『兵隊は畑で取れる』という喩えには、『ロシア軍が無理矢理に徴兵する』という意味と、『野菜のように手をかけない=ろくに新兵教育を行わない』という意味が重ね合わされています。『1万発』の喩えはもちろん、1万人の兵士の犠牲を前提にしているのは言うまでもありません」(同・軍事ジャーナリスト)

 2001年に公開された映画「スターリングラード」(ジャン=ジャック・アノー監督[79]・日本ヘラルド)をご覧になった方なら、冒頭の描写に度肝を抜かれたはずだ。

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