「兵士は畑で取れる…」ロシア軍の人命軽視が招く“惨状” 専門家は「第二次世界大戦から全く進歩してない」
恐怖の「督戦部隊」
予期せぬ同士討ちも悲惨だが、味方が信じられないという状況も悪夢だろう。ところがロシア軍は、こうした現場の切実な声を無視しているようだ。
当然ながら最前線では、兵士の士気が低下し、脱走も頻発している。だがロシア軍は、現場の苦境に理解を示して現状を改善するどころか、なんと逃走兵を《逮捕、射殺》する専門部隊を展開させているという。
Forbes JAPANは11月7日、「旧ソ連時代に逃亡する兵士を逮捕、射殺したバリア部隊をロシア軍も配備」の記事を配信した。
ニュースソースは《英国防省》と明記されており、日本でも朝日新聞などが同じ内容の記事を配信している。ここでは共同通信の記事(註1)から引用させていただく。
《英国防省は4日、ロシア軍が、ウクライナでの作戦に参加している兵士の退却や脱走を防ぎ、監視する「督戦部隊」の派遣を始めた可能性が高いとの分析を発表した。警告を無視した兵士の銃殺を認めているとされ、士気低下や規律の乱れが背景にありそうだ》
ウクライナ軍の猛攻でロシア軍の戦死者は増える一方だ。この根本原因を改めない限り、どれほど「督戦部隊」が全力を尽くしても脱走兵が減ることはないだろう。
動員兵の苦境
ロシア軍の補給に問題が生じていることは以前から報じられてきた。だが最近は、更に状況が悪化しているようだ。
「ロシアでは9月、軍務経験のある約30万人の予備役を動員するという『部分的動員』を実施しました。国内が大混乱に陥ったことは日本でも詳報されましたが、どうやらろくな装備も与えられず、ほとんど丸腰でウクライナの最前線に送られた動員兵もいるようなのです」(前出の記者)
ロシアの複数の独立系メディアが「ウクライナ東部に配置された動員兵が、ほぼ全滅した」と衝撃的なニュースを報じた。日本をはじめ世界の複数のメディアが、この記事を報じている。
ここでは朝日新聞DIGITALが11月7日に配信した「ロシア動員兵500人以上が死亡か 1個大隊ほぼ全滅 独立メディア」から引用させていただく。
《部隊はロシア南西部ボロネジ州から動員された予備役兵らで編成されており、装備がきわめて貧弱だった》
《指揮官らは兵士に「君たちは『肉』となるために連れてこられた。どうせ皆殺しにされる」と述べ、食料調達の名目で前線から離れていたという》
《(兵士は)塹壕(ざんごう)を掘るよう命じられた。スコップは「30人に1本」しかなかった。その最中にウクライナ軍から集中砲撃を受け、560~570人いた兵士のうち500人以上が戦死したという》
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