「兵士は畑で取れる…」ロシア軍の人命軽視が招く“惨状” 専門家は「第二次世界大戦から全く進歩してない」
1963年、佐藤純彌監督(1932~2019)の映画「陸軍残虐物語」(東映)が公開され、多くの話題を集めた。そして今、世界各国のメディアが「ロシア軍残虐物語」の記事を配信している。軍事ジャーナリストは「報じられたロシア軍の人命軽視という体質はあまりに酷く、にわかには信じられないものばかりです」と言う。
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読売新聞オンラインは11月8日、「ロシア軍の戦死者、同士打ちが『全体の60%』…指揮命令系統の混乱で頻発か」の記事を配信した。担当記者が言う。
「記事の情報源は、ロシア軍の部隊幹部が11月5日に投稿したSNSでした。部隊幹部は《別の部隊が埋設した地雷を踏んで(ロシア軍に)複数の戦死者が出た》といった具体例を挙げ、《5月中旬以降の戦死者の多くが同士打ちが原因》と暴露したのです」
この投稿はアメリカ政府も把握している。読売新聞の記事は米政府のシンクタンク「戦争研究所」の分析も紹介している。
「戦争研究所によると、ロシア軍は部隊同士の連携が不足している上、更迭などによって司令官の交代が相次ぎ、指揮命令系統が混乱しているそうです。SNSに投稿した部隊幹部は《ウクライナ侵略での露軍側の同士打ちは「全体の60%と言う人もいる」》と明かしています」(同・記者)
軍事ジャーナリストは「戦場での同士討ちは、珍しいことではありません」と指摘する。
現場の怒り
「1991年に起きた湾岸戦争でもアメリカ軍の部隊による同士討ちが確認され、戦車が破壊されるなどの被害が出ました。とはいえ、この部隊幹部の投稿が事実だとすれば、ロシア軍の損害は桁違いのようです。背景にあるのは、ロシア軍がウクライナ軍を恐れていることが考えられます。恐怖に駆られ敵味方の識別をせずに射撃をするので、同士討ちによる損害が甚大なものになってしまうのでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)
仮に投稿の信憑性を保留するにしても、現場の不満が相当なレベルに達していることは間違いないだろう。
実際、最前線でウクライナ軍と対峙するロシア軍の関係者が、怒り心頭に発していると伝えた報道もある。
CNN.co.jpは11月8日、「ドネツク州のロシア兵、『理解不能な戦闘』に投入と不満 書簡で訴え」の記事を配信し、YAHOO!ニュースのトピックスに転載された。
《ウクライナ東部ドネツク州に派遣されたロシア太平洋艦隊第155海軍歩兵旅団の要員が前線からロシア沿海地方の知事に送ったとされる書簡に、「理解不能な戦闘」に投入されたとの不満が記されていることが分かった》
《「偉大な指揮官」が「周到」に計画した攻勢のせいで、死傷者や戦闘中の行方不明者が4日間で約300人に達したと説明。同旅団だけで装備品の5割を失ったと明らかにした》
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