視聴率三冠王争い 王者・日テレにテレ朝が猛烈な巻き返し 秋ドラマで明暗くっきり
週ごとのドラマ視聴率
10月期のドラマ視聴率を週ごとに見てみよう。10月3日からの1週間、民放1位となったのは日テレの「ファーストペンギン!」(個人4・9%、世帯8・9%)だった。民放2位が「相棒」の再放送(木曜15時48分)で、3位が「祈りのカルテ」(個人3・7%、世帯6・6%)と日テレドラマは順調な滑り出しを見せた。
10月10日からの週は、いよいよ初代相棒・亀山薫が復帰した「相棒」のSeason21がスタート。「相棒」はNHKの朝ドラ「舞いあがれ!」と大河「鎌倉殿の13人」をも抜き去り、個人9・8%、世帯17・3%を記録して全局トップに躍り出た。民放2位につけたのが「PICU 小児集中治療室」(フジテレビ・月曜21時、個人6・1%、世帯10・3%)で、これに「アトムの童」(TBS・日曜21時、個人5・3%、世帯8・9%)が続いた。日テレの「ファーストペンギン!」は9位(個人4・1%、世帯7・5%)まで落ち、「祈りのカルテ」は10位圏外に。
そして17日からの週では、テレ朝の“新BIG3”こと「相棒」「科捜研の女」「ザ・トラベルナース」が出揃い、民放トップ3を独占した。
「『相棒』は初代相棒を務めた寺脇康文を、サプライズ的な特別出演ではなく5代目相棒として再起用したことで、往年のドラマファンをごっそり獲得することに成功しました。これには長年、昼間の時間帯に『相棒』を再放送してきたことも大きく寄与していると思います。初回の世帯視聴率17・3%は驚異的でしたが、その後も第2話が15・4%、第3話が14・2%と、民放の連ドラでは最高視聴率を記録し続けています」
テレ朝が勢いをつけている背景には、木曜ドラマ「ザ・トラベルナース」の好調も大きく関係している。
カレンダーはテレ朝の味方?
「今年、テレ朝の木曜ドラマは、松本潤が主演の『となりのチカラ』(世帯平均9・2%)、木村拓哉が主演の『未来への10カウント』(同10・9%)、竹内涼真が主演の『六本木クラス』(同9・3%)と、期待された数字は取れていませんでした。本来なら人気シリーズ『ドクターX~外科医・大門未知子~』を放送したかったところでしょうが、米倉涼子の独立や海外進出により断念。そこで医者ではなくナースという新境地の医療ドラマ『ザ・トラベルナース』を新たに作り出した。主演の岡田将生に加え、年配視聴者層に人気のあるベテラン・中井貴一を加えることでストーリーに重厚さが増した。初回から第3話まで2桁の視聴率を安定して獲得し、今後はさらに上がる見込みです」
対照的なのが日テレだ。
「日テレはバラエティ番組の調子はいいのですが、連ドラ3本が足を引っ張っています。奈緒が主演する『ファーストペンギン!』は7%台に落ち、玉森裕太が主演の『祈りのカルテ』は6%台、清原果耶が主演の『霊媒探偵』は初回6・4%で、その後は4~5%をウロウロしています。おかげで10月17日からの週はテレ朝が三冠に。24日からの週は日テレが三冠とはなりましたが、これはプロ野球の日本シリーズをフジとTBSで放送したため数字が分散したからだと見られています。また、10月31日からの週、日テレは『カラダWEEK』という視聴率強化のスペシャルキャンペーンを実施。例年なら日テレの勝ちパターンでしたが、テレ朝が二冠を奪っていきました。今、日テレ上層部は、頭を抱えているそうです」
年末まで残り1カ月半ほどだ。
「ところが、今年の年間視聴率は曜日の関係で、来年1月1日日曜の24時までの視聴率がカウントされるのです。昨年の大晦日、日テレは『絶対に笑ってはいけないシリーズ』の代わりに『笑って年越したい!笑う大晦日』を放送し、テレ朝の『ザワつく大晦日!』に惨敗しました。また元日のゴールデンでは毎年『芸能人格付けチェック』(朝日放送テレビ制作)が放送され、テレ朝が勝利しています。カレンダーはテレ朝に味方しているかもしれません」
ちなみに、昨年の年間視聴率は1月2日までがカウントされた。2日には日テレが誇る「箱根駅伝」往路の放送があるが……。