中国共産党大会で胡錦濤前国家主席が退場のナゾ 習近平も困惑…背景にパーキンソン病、認知症か
「マイナスの出来事」
異論は許さないと国内外に自らの権威を示した。そんな論評が飛び交う中で、
「習近平にとってみれば、本当にマイナスの出来事だったと思いますよ」
と話すのは、中国問題グローバル研究所所長で筑波大学名誉教授の遠藤誉氏だ。
「中国において、党大会というのは皆が微動だにせず、粛々と一糸乱れずに進行していく儀式のようなもの。近年はずっとそうやってきたわけで、わざわざ全世界のカメラが見ている場で、党大会の威厳にケチがつくようなことが起きれば、習政権が国内外で恥をかくことになってしまう。ですから、この“退場劇”は事前に仕組まれて起きたことではないと考えます」
ジャーナリストで、拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏も、
「胡錦濤の息子は浙江省麗水市書記として習近平から厚遇を受けていますからね。党人事に異議を唱えて息子を窮地に立たせる選択はしないと思います。もともと胡錦濤は海南島にある人民解放軍の病院で療養していて、昨年7月の共産党創立100周年行事でも様子がおかしいといわれていました。習近平からすれば自身の正統性を誇示するため長老を座らせたのに、閉幕式で体調不良を起こされてしまったのが実際のところでしょう。周囲の参加者も、“やっぱり具合が悪いのね”と困惑する反応が見てとれました」
難病の症状
気になる病状について、先の遠藤氏はこう指摘する。
「北京の党関係者の間では、10年ほど前から胡錦濤はパーキンソン病を患い、数年前から加齢に伴う認知症も併発していたという認識があるようです。今回は閉幕式直前に彼が難病の症状である異常行動を起こし、それに気付いたボディーガードが家族とも連絡して、人前で恥をかかせないよう退席させることを決めたと聞きました」
謀ったのではない想定外の出来事だったとしても、自らを後継指名してくれた長老に手を差し伸べることもなく平静を装った習氏。その姿勢こそが今の中国を象徴しているといえよう。