プロレスデビューしたフワちゃん 共演者からイジリの標的にならないワケ
キャラに奥行き
フワちゃんが長く生き残っている理由は、生来のセルフプロデュース能力の高さによるものだろう。彼女はお笑いコンビの一員として活動を始めて、解散してピン芸人になった後、YouTubeの世界で注目され始めた。もともとInstagramで自ら加工した「おもしろバカ画像」をアップし続けていた彼女は、映像制作にも同じような楽しみを見出した。
明るさ、勢い、行動力、ビジュアルセンスなど、彼女が持っている強みがYouTubeの世界ではそのまま生かされた。しかも、彼女には暴走する自分を客観的に眺めるプロデューサーとしての冷静な視点も備わっていた。
テレビの世界ではその能力が生かされた。視聴者や共演者は「フワちゃん」という人間をどういうふうに見ているのか。それを踏まえて、どういうふうに行動すれば彼らを楽しませて、彼らと良い関係を築くことができるのか。彼女はそのことを誰よりも冷静に考えて、戦略を練って、それを実践してきた。
そして、フワちゃんはそんな戦略的な一面をコソコソ隠そうとはしない。むしろ、積極的にさらけ出すことで、それも含めて面白がられているようなところがある。
フワちゃんのようなタレントは、ある段階で「この子、カメラの前ではタメ口だけど、裏ではものすごく真面目なんですよ」などと、共演者からイジられたりすることがある。でも、フワちゃんのキャラクターにはその単純な「表の顔・裏の顔」という図式にとどまらない奥行きがあるので、そういうイジリの標的になることもない。
ゴールデン・プライムタイムの番組では体を張って派手に暴れ回ったり、スポーツに挑戦したりする。一方、深夜番組やラジオでは、明るく振る舞いながらも戦略的な一面を覗かせたり、親しい芸能人と距離を詰めてじっくり話をしたりする。フワちゃんのことを熱心に追いかけているファンにとっては、その振れ幅の大きさも魅力である。
プロレス挑戦によって、まだまだ秘めた才能があることを見せつけたフワちゃん。これからも息の長い活躍を続けていくだろう。