米軍がウクライナで武器横流し対策を開始 ロシアと直接対決のリスクも高まる
米軍兵士の身の危険
米軍が武器の管理強化に乗り出したこと自体は朗報だが、新たな不安が頭をもたげる。
ロシア軍との直接対決を回避するため、ウクライナ国内に駐留する米軍は慎重に行動してきたが、武器管理を強化するためにはウクライナ軍に代わって前線での武器管理を行う必要が出てくる。だが、このことはウクライナに派遣されている米軍兵士の身の危険が高まることを意味する。
ロシア軍はこのところウクライナに供与された武器管理庫への攻撃を激化させており、米軍関係者による武器管理の査察を行う機会が増えれば、ロシア軍の攻撃に巻き込まれるリスクはこれまでになく高まってしまうからだ。
深刻なインフレに苦しむ米国では「ウクライナへの軍事支援を縮小すべき」との声が高まっているが、米国軍兵士がロシアの凶弾に倒れるような事案が起きれば、米国の世論が「ロシア憎し」一色に変わってしまう可能性は排除できない。
米国政府は11月2日「ウクライナでの核兵器使用を示唆するロシアの発言に懸念を深めている」との見解を示した。「ロシア軍幹部が最近、戦術核兵器の使用方法と時期について協議した」との情報を得たからだが、米軍がロシア軍と直接対決するような事態になれば、そのリスクは飛躍的に高まってしまうことは確実だ。
米国政府は停戦に向けた努力も直ちに始めるべきではないだろうか。
[2/2ページ]