「犯人はあんたしかおらん」 餃子の王将事件、京都府警に“黒幕”と疑われた人物の正体とは?

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「私に押し付けたのでは」

 ところがこの後、上杉氏が王将側に返済と借り入れを繰り返したこともあり、少なからず“齟齬”が生じていったという。

〈05年の段階で、『王将』は私に対し、90億円以上を貸し付け、そのうち返済額は40数億円に過ぎないと主張してきました。経営悪化の責任を取って、潔さんも欣吾さんもすでに『王将』を去っていた。私は、潔さんのあとに社長に就いた大東さんと何度も話し合いの機会を持ちました〉

 00年に4代目社長に就任した大東氏は当時、東証1部上場を目指しており、上杉氏側との取引を清算すべく交渉にあたっていた。上杉氏によれば、最終的に債務は約40億円であると双方が確認、和解したといい、これが約260億円にまで膨れたのは、

〈『王将』の内情が火の車だったことに理由があったと思えてならない(中略)経営陣は、損失の穴埋めのために、経理上、それを私に押し付ける格好を取ったのではないでしょうか。私との取引で損失が発生したことにすれば、会社内部で誰からも異論を唱えられないと責任逃れをしたに違いないのです。私が上杉佐一郎の弟だから、アンタッチャブルだという誤った偶像化がされてしまったのかもしれません〉

大東氏は巨額の取引の処理に苦労

 実は王将の調査報告書は、13年11月に大東氏を中心に作成された別の「レポート」に基づいている。この時点で上杉氏側との“不適切な取引”は社内で問題視されていたにもかかわらず、レポートはなぜかお蔵入りに。そして、その1カ月後に大東氏は殺められている。

 創業者である朝雄氏の右腕で、93年から2代目社長を務めた望月邦彦氏が言う。

「私が94年に社長を辞めたのち、3代目を引き継いだのは先代の長男の潔さんでした。最初の2年間はよかったのですが、3年目くらいからグレードの高い中華を手掛け始めて業績が下がってきた。その穴埋めをしようと投機に手を出し、“双方にメリットがある”ということで不動産取引が本格化したのではないかと思います」

 それでも行き詰まると、

「潔さんは弟の欣吾さんとともに、大東さんに経営をお願いしたのです。大東さんは初め難色を示していましたが、他に担える人がいないので引き受けざるを得なかったのだと思います。体制を一新しようとした彼は、社長になってからは巨額取引の処理に苦労していました」(同)

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