「犯人はあんたしかおらん」 餃子の王将事件、京都府警に“黒幕”と疑われた人物の正体とは?
「王将の犯人はあんたしかおらんのや」
とはいえ、実行犯を挙げただけでは大東氏も浮かばれまい。肝心の「首謀者」は、どう炙り出していくというのか――。
先述した「遺留品から暴力団関係者のDNA型」報道があった翌年の16年3月、王将フードサービスは第三者委員会がまとめた「調査報告書」を公表している。目的は王将が〈反社会的勢力と関係があるかどうかを確認すること〉であり、結論として〈確認されなかった〉というのだが、同時にこの調査では、特定の人物が経営する企業グループとの間で王将が合計約260億円にのぼる取引を繰り返し、このうち170億円が回収不能となっている事実が明るみに出たのだった。
報告書の中で「A氏」と称されているこの人物は、部落解放同盟の故・上杉佐一郎中央執行委員長の異母弟で、元ゴルフ場経営者の上杉昌也氏(78)。王将とは創業者である加藤朝雄氏の代からの付き合いで、新規出店時の役所との交渉や、暴力団が絡んだトラブルの際などに力を貸してきたという。
16年1月、大東氏の殺人容疑で自身の会社が家宅捜索を受けたという上杉氏は、同年9月22日号の本誌(「週刊新潮」)で、
〈2014年の4月初め、京都府警捜査1課の刑事2人が、福岡にある私の会社を訪ねてきました。(中略)開口一番、「九州のヤクザが動いとる。九州といったら、あんたしかおらん」「上杉さん、王将の犯人はあんたしかおらんのや」と迫ってきた〉
と、生々しい場面を回想している。
「うちでなんとかしますよ」と50億円を
続いて「調査報告書」で大々的に論(あげつら)われている点については、こう述べていた。
〈260億円にものぼる取引を行い、そのうちの約170億円が未回収であるという話の根拠もさっぱり理解できません(中略)ただ、取引自体は、私が『王将』から50億円の融資を受けたことが発端になっています〉
1990年代後半の住専問題のさなか、上杉氏の会社も大口融資先として住宅金融債権管理機構から50億円の返済を求められていた。そこに手を差し伸べたのが、創業者の次男で財務担当専務の欣吾氏だったという。
〈「もう、お手上げですよ」と、電話で愚痴をこぼした。当時、社長は長男の潔さんでした。すると、2日後、欣吾さんから「それくらいだったら、うちでなんとかします」と、50億円を用立ててくれたのです。まさしく、地獄に仏とはこのことでした〉
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