「慰安婦少女像」撤去運動を行う韓国人たち 「少女像は偽りと憎悪の象徴」活動理由を語る
デモに10人しか来ない日も
韓国では、長年、日本政府に対して慰安婦への正式な謝罪と賠償を求める「水曜集会(デモ)」(毎週水曜開催)が、旧日本大使館前で行われてきた。だがコロナ禍で集会は制限され、感染拡大防止のために「一人デモ」の形を余儀なくされた。そして昨年11月1日、「段階的な日常回復」(ウィズコロナ)へ向けて防疫措置が緩和されると、申告さえすれば誰でも、人数に大きな制約を受けず集会ができるようになった。
この緩和措置は、デモを主導する韓国最大の慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(旧挺対協。以下、正義連)にとって、活況を呈した過去への回帰ではなく、場所を転々とする惨めで辛い集会の始まりとなった。ウィズコロナ後に初めて迎えた昨年11月3日の水曜日、正義連の集会は、約30年間守ってきた少女像の前から、隣の聯合ニュースビル前に締め出される屈辱を味わった。対抗する保守系団体「自由連帯」が先に集会の申告をしていたためだ。その1カ月後の12月1日には、聯合ニュースビル前から、国税庁の後ろにある狭い場所へと追いやられた。私が代表を務める「慰安婦法廃止国民行動」に場所を奪われたからである。
以来、正義連は水曜デモを行う場所を探して転々とする、放浪の身となる。3年前の2019年8月14日の集会では、主催側推計で2万人にもなる人が押し寄せ、足の踏み場さえなかった。ところが資金流用問題や慰安婦との不和などが発覚し、いまはやっと10人を数えるという日も多い。隔世の感がある。
ドイツ遠征デモ
正義連の水曜デモが少女像の前から完全に締め出されたと判断した私たちは、今年初め、各団体別に行っていた集会を一つにまとめ、「慰安婦詐欺清算連帯」という団体を結成した。普段は各団体ごとに活動しながら、大きな出来事があれば団結し、正義連への圧迫を強めるためである。
その最初のイベントが、2月16日に行われた「私たちは友達!」がテーマの「韓日友好市民ハンマダン(集いの場)」だった。その日、旧日本大使館から見える聯合ニュースビル前には、日の丸と太極旗(韓国国旗)が翻った。以前なら「親日派」「売国奴」と罵られ、暴力が横行したはずだが、不思議なほど静かだった。慰安婦問題で少しでも異なる意見を出せば「極右の妄言」と非難したマスコミも静かだった。私は成功した行事だったと思っている。
こうした勢いに乗って、海外にある少女像の撤去デモをしようという意見が出てきた。コロナが流行する前、ドイツ遠征デモを計画していた落星台経済研究所研究委員の李宇衍(イウヨン)博士の提案だ。提案はすぐに具体的な話となった。当初は、意気揚々とドイツ・ベルリンと米カリフォルニア州・グレンデールにある少女像前で集会を行おうとしたが、コロナ禍前に比べ2倍以上に値上がりした航空運賃と長距離旅行への負担から、米国行きは断念せざるを得ず、ひとまずドイツに向かうことになったのだ。
[2/6ページ]