「住基ネット」不正の背後に暴力団 区役所職員とその知人がハメこまれた事件の構図とは?
金銭のやり取りが浮上
「知人Bの背後にいる暴力団関係者は、組織から逃亡した人間や所在不明になった者を探そうとして、住基ネットに行き着いたようです。捜査2課はA、B両容疑者の間に金銭のやり取りがなかったかについて調べていますが、暴力団関係者→B→Aという資金の流れがないと、Aが必ず逮捕される案件に手を染める説明がつかないようにも見えます。あるいは、もともと借金がAにはあったのかもしれませんね」(同)
その一方で、暴力団組織から逃げた人間を追いかける意味とはどういったものなのか?
「秘密を握ったまま組織を裏切るようにして“飛んだ”者は組織にとってマイナスになるので、制裁を加える必要があるということなんでしょう」(同)
当然、気になるのは逃げた人間の属性だ。
「そのあたりはなかなか判然としませんが、少なくとも今年2月にあったとされる投書は、個人情報を特定された者たちやその関係者によるものだったとの指摘があります。また先に触れた“東京都外に住む男女2人の住所”というのは、あまり可能性はないかもしれませんが、組織の男がトップや最高幹部が寵愛する女性とねんごろになったとか、そういった例もあり得なくはないでしょう」(同)
拷問や理不尽な扱いにセクハラ
その他にも、こんな事例が想定されるという。
「組織で耐えきれない拷問や理不尽な扱いを受けて逃げたということが考えられます。上下関係が歴然としていますからね。そういったパワハラやモラハラ的なところから、同性愛的なセクハラもあるでしょう。単に下っ端の者が逃げただけでは追わないので、それなりの秘密を握っている場合に限られます。あとは、カネの問題ですね。組織の水揚げを一時的に預かっていたところを飛んだとか、営利目的で所持していた薬物と共に姿を消すとか、そういったことですね」(同)
いずれも組織としては看過できない問題だが、自前の捜索では手に負えず、手っ取り早く金銭を払って情報を入手することで片付けようとしたフシがある。
「組織的犯罪行為が明らかになれば、さらに罪状が重なることになるでしょう」(同)
結果として、あまりにも高くついた端末操作だったということになりそうだ。
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