「住基ネット」不正の背後に暴力団 区役所職員とその知人がハメこまれた事件の構図とは?
「いずれはバレる」のに
警視庁捜査2課は11月5日、杉並区役所の職員A(32)とその知人の男B(34)を住民基本台帳法(秘密保持義務)違反容疑で逮捕した。暴力団関係者から依頼を受け、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)で取得した個人情報を漏えいしたという。実態はどういったものだったのだろうか。
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そもそも住民基本台帳とは、「市町村の住民について、その氏名、生年月日、住所等を記載した個々の住民票をもって構成される、住民に関する記録を行う公簿」を指す。住基ネットは1999年の住民基本台帳法の改正によって構築された。これで「各市町村が管理する住民基本台帳のネットワーク化」が図られ、全国共通の本人確認が可能となったのだ。
住基ネットは操作できる職員が限られる。操作の際には識別カードとパスワードの入力を求められるし、定期的に職員のアクセスログが監査されており、不正があればどこかのタイミングで必ず露見する建て付けだ。今回の一件は、この「いずれはバレる」ことをよく知っているはずの自治体の職員が行ったことになる。
暴力団関係者からの依頼を受けて
「行政書士や司法書士、弁護士などが必要書類を自治体に提出することで、本人の了解なく戸籍謄本などを取得することが認められています。それだけに悪用されるケースが多かったのですが、この手の犯罪に直接、区役所の職員が関係していたのはレアだと思います」
と、担当記者。
「かつて、6代目山口組の直参組織の捜査に関係する愛知県警幹部の自宅に脅迫電話がかけられた事件がありました。幹部の情報を得るための住民票の不正取得などで行政書士らが摘発されています」(同)
では、今回の件に話を移そう。
「職員Aは知人Bから提示された、東京都外に住む男女2人の住所などを漏らしていたようです。時期としては2021年4月~22年2月で、計20人を超える個人情報が漏えいした可能性があります。Bの行動は暴力団関係者からの依頼を受けてのものだったと言います」(同)
コトが露見したのは今年2月。区役所あてに「職員が住基ネットを不正に検索して得た個人情報を漏らしている」との投書があったことだった。
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