日本の太陽光発電を食い荒らす中国企業と“怪しい事業者” パネルはウイグルの強制労働で製造されている問題も

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上海電力の“ステルス参入”

 去る5月11日に成立した経済安全保障推進法の柱に「基幹インフラ役務の安定的な提供の確保」がある。基幹インフラには14業種あり、電力事業はその一つだ。前回でも触れたが、ここに中国の国有系企業である上海電力股彬有限公司(以下、上海電力)の日本法人が狡猾な手段で手を伸ばしている。日本の安全保障を担う“国防の要”である、山口県の岩国基地近くに設置されたメガソーラー施設を入手・運営しているのだ。

 中国には10年に成立した「国防動員法」がある。中国政府が有事と判断すると、男性は満18歳から満60歳まで、女性は満18歳から満55歳までのすべての国民に人民解放軍への協力が求められる。“すべての国民”には海外在住者も含まれるので、約74万人という在日中国人も適用対象だ。つまり、中国企業に基幹インフラ事業を任せる行為は、中国政府に日本人の生殺与奪の権を与えるのと同じことなのだ。

 上海電力が秘密裏に岩国基地周辺で複数のメガソーラーを手に入れた手法は、「合同会社」の転売を繰り返すという、良識的な商取引の慣習を無視した“ステルス参入”と呼ぶべきものだ。それだけに、国民生活に直結した基幹インフラの事業者は株式会社に限定する必要がある。株主への説明責任が生じる株式会社とは異なり、極めて透明性に欠ける合同会社の基幹インフラへの参入は、いますぐ禁止しなくてはならない。

倒産件数の増加

 では、事業主が大規模な森林伐採による自然破壊を行ってまで、メガソーラーを建設する動機は何か。それは、広大な山林を丸裸にして太陽光パネルを敷き詰めれば、伐採された山林跡がたちまちキャッシュフローを生み出す“金の卵”と化すからだ。12年からスタートした「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」はその名の通り、固定価格での買い取りなので契約と同時にキャッシュフローが確定する。その買い取り期間は20年間(出力10kw以上の設備の場合)だ。

 誤解を恐れずに言えば、メガソーラーの建設や転売に奔走する人々の多くは二酸化炭素の排出抑制という高邁な理想のためではなく、単に金儲けのために従事しているに過ぎない。公共性より利益の追求に重きを置く事業者や、狡猾な手段で参入した上海電力のような海外企業の参入を排除するには、FITの見直しが有効だ。仮にFITの価格を原子力発電並みに下げれば、太陽光発電に携わる事業者の多くはすぐに他の分野に資金を振り替えることだろう。

 メガソーラーの事業者が乱脈経営によって破産する例も後を絶たない。太陽光発電関連の事業者の倒産件数は、14年から5年連続で増加した。18年には95社、19年には74社だったが、20年は84社、21年には84社というペースで高止まりが続いている。

 太陽光発電の関連事業に新規参入が相次いだのは、FITの施行が契機となったことは間違いない。そのブームの沈静化や倒産件数の増加は、買取価格が毎年連続して引き下げられたことが要因だ。

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