「エルピス」で感じる長澤まさみの“凄味” エンドロールの参考文献で読み解くストーリー
戯画化とサスペンス
冤罪を覆す手立ては二つしかない。一つは容疑者の無罪を証明すること。もう一つは真犯人を見つけることだ。もしも容疑者とは別の真犯人が存在するなら、新たな犯行が続くことになる。
浅川と岸本は、まず事件当日の松本の動きを検証することからスタートする。
だが、そもそも松本は本当に無実なのか。物語の発端となる大山の証言は真実なのか。岸本が抱える闇はどんな形で露呈してくるのか。
テレビというメディアを際どい戯画化によって批評しながら、冤罪をめぐる緊迫感のあるサスペンスドラマとして成立させているのが、この『エルピス』である。
佐野も、渡辺も、ハイレベルな“確信犯”と言っていい。「次はどうなる?」という視聴者の興味に応えつつ、時には見事に裏切るような展開が期待できそうだ。
(一部敬称略)