いよいよ「お墓」もサブスクの時代 初期費用は格安で引っ越しも可能、残された課題は?
自宅に遺骨
「偲墓を考案したのは、2020年の夏でした。近年、後継者がいないという事情から、お墓を作らずに自宅に遺骨を安置する人が増えていました。お墓を作るとなると、墓石だけで平均169万円(2020年)はします。それに土地代もかかりますし、お寺の檀家になるとお布施も必要です」
お墓にお金はかけたくない。でも、自宅に骨壺を置いたままだと供養できないのではないか、という心配も少なくない。
「そこでお墓のサブスクを考えたのです。2021年4月からサービスを開始しました。お寺と檀家契約を結ぶ必要はなく、自分で決めた期間だけ、お墓を維持して供養します。契約期間中は、お寺が供養やお墓の管理を行います。契約した人は気軽に墓参りもできます。解約する場合は、追加料金なしで永代供養墓に遺骨を埋葬いたします」
墓石は、四角形だけでなく、六角形のものもあり、こちらは初期費用が2万円高くなるという。
もっとも、遺骨を供養できるのは、偲墓事務局と提携しているお寺だけだ。現状では、三重県、愛知県、福岡県、大阪府、京都府、広島県、福井県、静岡県にある計26カ所のお寺に限られる。
「いずれ関東や東北地区など、全国のお寺とも提携する予定です。すでに群馬や栃木のお寺から問い合わせが来ていますし、東京や神奈川、千葉にお住いの方から偲墓を利用したいというお話もいただいています」
例えば、東京に住んでいる人だと、一番近い寺は静岡になる。
「お寺が遠方にしかない場合は、納骨の時だけ来ていただければ結構です。まだ一度もされた方はありませんが、リモート納骨もできます。利用者に納骨キットをお送りするのです。丈夫なダンボール箱に緩衝材を入れ、骨壺が割れないようにし、ゆうパックで送っていただきます」
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