泣きながら抱きついた女子大生の恐ろしい復讐 46歳男性が“不倫未遂”でうつ病になったワケ
突如現れた学生アルバイト
4年前のことだ。遼一さんが担当した大きなイベントのために、夏休み中の学生アルバイトを募集したことがある。面接をして数人採用したのだが、20歳の怜子さんが彼の印象に残った。
「学生らしい初々しさと、青いくらいに理想を語る鮮烈さがあって。面接をした他の社員もみんな彼女を褒めていました」
一緒に仕事をしてみると、非常に覚えが早い。一を聞いて十を知るタイプで、しかもどんな仕事にも真摯に取り組む。聞いてみると、将来はイベントの企画や運営をする会社で働きたいと思っているという。
「じゃあ、うちに来てよと思わず言いましたが、うちはそれほど大手じゃないから、彼女にとっては物足りないだろうと反省しました。彼女は『受けますよー、入れてくださいね』と笑いながら言うんです。おじさん相手に調子を合わせてくれる優しさもありましたね」
期間限定のアルバイトとはいえ、彼女は重要なところでアシスタントの補佐ができるほど優秀だった。全方位に気配りができるところが20歳の学生とは思えなかった。
その仕事がうまくいき、アルバイト数人を連れて食事に行ったことがあった。若くてもそれぞれに「20年分の人生がある」と遼一さんは感じた。特に怜子さんが、「母子家庭で育ちました」と明るく言ったのがひっかかった。
それから数週間たったころ、怜子さんから「相談がある」と連絡を受けた。彼女のためなら何でもしようと彼は思ったという。
「やはり就職関係の相談でした。大手の広告会社やイベント関係の会社を受けたいと。彼女が挙げた会社には知り合いもいたので、紹介すると約束しました。いろいろ話していたら、彼女の両親は離婚したわけではなく、お母さんが未婚のまま彼女を産んだと聞かされて。『母はその人のことを本当に愛していたんだそうです。でも私に気づいたときはもう別れたあとだった』と。連絡をとろうとしたけどとれなかったと言うこともあるし、とろうとは思わなかったと言うこともあって、どちらが真実かはわからない、と。お母さんが実家から勘当状態だったので、経済的には苦労したみたいですね。そういうことをわりと淡々と話す怜子さんに興味をもちました」
それ以来、怜子さんはときどき連絡を寄越すようになった。会って食事をして別れる。それだけの関係だ。子どもが3人いて、11人家族で暮らしている自分、というのが常に遼一さんの心の中にあった。しかも怜子さんは姉の子と年齢が近い。遼一さんの感覚としては、姪っ子と会っているも同然。恋愛感情などわくはずもなかった。
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