電車内で暴行「財務省キャリア」は辞めていなかった その決断の背景にある力学とは?

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次官候補の最右翼だった

 今年5月、電車内で乗客を暴行した容疑で逮捕された財務省の小野平八郎元総括審議官(56)。事務次官も射程に収めていたスーパーエリートが一気にその座から滑り落ちたわけだが、事件から半年ほどが経った10月25日に東京区検から傷害罪で略式起訴された。これを受けて財務省は懲戒処分を発表したが、小野氏が同時に退職しなかったことが霞が関で話題となっているという。何があったのか?

 小野氏は今年5月、仕事を終えて私的な会合で飲食をした後、帰宅途中の東急田園都市線の電車内で乗客に暴行し、駅員の通報で駆けつけた警察官に現行犯逮捕された。

「小野氏は当時、国会対応などを担う最高幹部である総括審議官でしたが、事件後にその任を解かれました。6月に官房長、来年には主計局長就任が確実視され、次官をほぼ掌中に収めていると言われていただけに、省内もショックに包まれました」

 と、担当記者。財務省の次官と言えば官僚の中の官僚だ。
小野氏は酒に強いタイプで、酔って乱れたところを見たことがないとの評もあっただけに、省内で一連の愚行は驚きを持って受け止められたという。

傷害に切り替えての起訴

 暴行された男性側は、小野氏に対する処罰感情が強く、示談交渉もまた難航したとされる。

 もともと暴行容疑での逮捕だったが、略式とはいえ起訴されたのは傷害容疑となっているあたりにはそこも影響しているのだろうか。刑法で暴行の最高刑が2年であるのに対し、傷害は15年と重さは段違いだ。

「ただ、この処分を受けて相手側との示談が成立し、財務省も懲戒処分を発表することに至ったということのようです」(同)

 そこで下されたのが、「減給10分の1を9ヶ月」だった。
その程度か、と思われるかもしれないが、省内での受け止め方は別だったという。

「こんな重い処分はあまり聞いたことがありません。さらに驚いたのが、小野氏がまだ省内に留まっていることです。事件後しかるべきタイミングで辞職するか、せめて今回の処分と同時に辞めるのが普通ですからね」(同)

 実は、小野氏は事件後に「進退伺」を上層部に提出していたとの情報がある。

「しかし、当時の矢野康治次官が引き留めたと言われています。矢野次官は小野氏に特に目をかけてきたとされていることも大きかったと思われます。ただ、慰留したとしても元いた決裁ラインに戻ることはできませんから、引き留めの判断が事実とするなら違和感が残りますね」(同)

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