「團十郎襲名披露」なぜチケットの売れ行きが不調? 勸玄くん人気に陰り、「商標登録」トラブルも
十八代目中村勘三郎はかつて「型があってこそ型破り、型がなくては形無し」と説いた。翻って今月、歌舞伎の「型」を打ち破らんとする市川團十郎が襲名披露に臨むが、ささやかれるは重鎮からの苦言と客入りの悪さ。その姿勢は果たして「型破り」か「形無し」か。
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コロナ禍で2年半もの間待たされた。しかし、悲しいかな、その分、「成田屋!」という掛け声が大きくなるわけではないようだ。
市川海老蔵(44)が江戸歌舞伎の大名跡である「市川團十郎」を十三代目として襲名した。本来であれば2020年5月からの3カ月間で催されるはずだった襲名披露興行が、この11月7日からついに行われるのだ。同時に長男の勸玄くん(9)も八代目市川新之助として歌舞伎座の舞台に立つ。
「これまでの海老蔵人気からは考えられない」
不安視されているのがそのチケットの売れ行きである。
「これまでの海老蔵人気からは考えられないことですね。実際、04年に海老蔵を襲名した時は即日完売でしたから……」
と嘆息するのは、演芸担当記者。10月末の時点では2万3千円の1等席、1万8千円の2等席が売れ残り、團十郎自身、ブログで残りチケット枚数を告知する始末だった。
「2万5千円の桟敷席はひいき筋で埋まり、安い三階席は若い人に売れています。その間の席が売れ残っていたということは、“良い席で團十郎を見たい“という一般客がさほどいなかったのでしょう。もちろん、コロナ禍で離れてしまった高齢のお客さんは少なくなく、平時から松竹は動員に苦労している。その影響も少なからずあるとは思います」
不安が残る11月の興行は、市川宗家のお家芸「歌舞伎十八番」から「勧進帳」「助六由縁江戸桜」「外郎売」など。十二月大歌舞伎では「毛抜」で勸玄くんが武士・粂寺弾正を演じる。「毛抜」は男女の機微の表現など難しいシーンも多い。
歌舞伎評論家が解説する。
「主人公の武士である弾正は、豪快な演技を求められる一方、色を好み、知性も兼ね備える役どころです。團十郎自身も初演は30歳で、今回、9歳の勸玄くんに役をあてがうと発表された際は、関係者も度肝を抜かれました」
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