ゼレンスキーの悲願「クリミア半島の奪還」が現実味 ロシア軍が大苦戦する根本原因とは

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大橋で“一体化”

「ロシアは軍を派遣し、14年2月末にはクリミア自治共和国を制圧。一方的に『クリミア共和国』としてロシアに併合することを明らかにすると、3月に可否を問う住民投票を実施したのです」(同・記者)

 だが、そもそも住民投票はウクライナの憲法に違反していた。おまけに投票の不正も明らかになった。

「ロシアへの編入に賛成した票は全体の96・6%を占めたと発表されましたが、少なくとも西側諸国で、住民投票の結果を信じる国はありませんでした。国際社会は投票結果を全く認めない姿勢を早々に打ち出したのです」(同・記者)

 だが、ロシアは国際社会の異論を完全に無視した。住民投票は3月16日に実施され、何と翌17日にはクリミア共和国の“独立”が承認されてしまう。

 ロシアはクリミア半島との“物理的な一体化”が急務になった。ウラジミール・プーチン大統領(70)は、早くも3月19日に橋の建設を明らかにした。

「プーチン大統領の発表から約1年後の2015年5月から工事がスタートしました。道路部分は18年5月、鉄道部分は19年12月に開通しました。全長は18・1キロ、道路橋は16・9キロ。ちなみに東京湾アクアラインは、トンネル部分が9・5キロ、橋が4・4キロで、合計15・1キロです」(同・記者)

復旧の実態

 ところが10月8日の大爆発で、ロシアとクリミア半島を繋ぐ“大動脈”が破壊されたのだ。ロシア側からすると、半島が“孤立”したと言っても過言ではない。

 爆発後の報道を振り返ると、興味深いことが分かる。爆発が起きた翌日の9日、読売新聞は朝刊で「クリミア大橋 爆発 一部崩落 露本土結ぶ補給路」の記事を掲載した。

 文中ではロシア側が急いで復旧作業を行い、通行が再開されたとある。

《道路の一部は、爆発から約10時間後に通行が再開した。国民が動揺しないよう復旧を急いだとみられる》

 ところが、同じ読売新聞は20日、「露司令官『へルソン州苦戦』 インフラ攻撃継続 主張」の記事で、大橋の復旧が遅れていると報じた。

《露本土と、ロシアが一方的に併合している南部クリミアを結ぶ「クリミア大橋」の爆発で、露軍への補給に支障が出ている可能性もある。露副首相は、破損した橋の構造物撤去だけで「年末までかかる」との見方を示した》

 果たして、通行は再開しているのか、それともロシア軍の補給に悪影響を与えるほど復旧が遅れているのか、どっちなのだろうか。

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