「オールブラックスに大金星逃す」は適した表現か? ラグビー日本代表の現在地を分析
常に結果を求められ
かつて日本はW杯でオールブラックスに17-145で敗れ、それは今もなおW杯レコードとなっている。
「そういう負の歴史があるだけに、往時の勢いはないとはいえオールブラックスを特別視するところがあるのだと思います。それにしても、これだけの観客を集めたのですから、協会としては今回のテストマッチは大成功でしょう。これまで日本のリーグでニュージーランドのスター選手にプレーしてもらったことも今回の成功に寄与したと思います(同)
冷静に現状を見た場合、勝てばもちろん「金星」には違いないとはいえ、その大きさは以前と比べれば、小さくなっている、というところだろうか。
他方、NZメディアは今回の辛勝におかんむりだった。
「ことラグビーに関して、あちらの一喜一憂具合は半端ないですからね。今年の長い不振のトンネルの中では悲壮感がずっと漂っていました。実際、ヘッドコーチの交代寸前だったとも報じられ、それはどうやら事実のようですが、W杯1年前の交代に発展していたら異例中の異例だったと思います。常に結果を求められ、それでいて新戦力の充実も図らなければならないので本当に胃が痛くなる仕事だと思いますよ」(同)
プランを忠実に実行できるか
NZメディアは今回の結果で、日本が王国を倒す時期も近づいているとの見方を示してもいたが、
「どうですかね。なかなか難しいとは思いました。そもそもオールブラックスはこの試合の後のヨーロッパでのテストマッチに照準を合わせていましたし、完全に1軍とは言い切れない1.3軍程度の戦力で日本と対峙していました。身内の不幸で今回は出場しなかったレギュラーもいましたが、雌雄を決する試合なら恐らく出場していたでしょう。NZメディアの分析は話半分くらいで聞き流しておいた方が良いでしょう」(同)
もちろん、あの忌まわしい128点差の敗北から7点差まで詰め寄ったことについては隔世の感がある。
「そうですね。日本の強化は順調です。ジョセフ・ヘッドコーチはコロナ禍でほぼ2年にわたって強化の時間を失ったことが痛いと常に触れますが、それをどう取り戻すかですね。日本のコーチ陣は世界的に見ても高いギャラで雇われていますが、それにあぐらをかくことなく世界とどう戦うかのプランがとても豊富。あとはそれを忠実に実行できれば前回W杯で残したベスト8以上の成績も夢ではありません」(同)
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