緊急手記・水道橋博士の休職について思うこと(ノンフィクション作家・細田昌志)

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 2022年11月1日、国政政党・れいわ新選組の不定期会見の冒頭で、代表の山本太郎参議院議員より、所属する水道橋博士参議院議員の休職が伝えられた。理由は「深刻なうつ状態」だという。

殺人的なスケジュール

「気付けなかったことに対して、申し訳なく思っている」「医師から『年内の仕事は難しい』という診断結果が出ていた」「10月24日からの予定を白紙にして国会を休んでもらうことにした」「博士自身は『辞職したい』と申し出ていた」「この状況で判断するのはよくないという医師の助言を受け、休職に至った」

 以上の内容を会見及び、自身のTwitterでも発信するに至った。

 今夏の参院選、水道橋博士の選挙戦を手伝いながら、以降は別段連絡を取り合っていなかった筆者にとって、この報告は青天の霹靂で、初めて知ることばかりだった。ただ、頷けることも多かった。当選直後から殺人的なスケジュールをこなしていたのを、ブログ「博士の悪童日記」で読み知っていたからだ。

 猛暑も相俟って肉体的、精神的に疲弊しながら、117,794票を獲得し当選。その労苦も報われたかに見えたが、直後に新型コロナウイルスに罹患し、療養を余儀なくされたのをニュースで知った読者も多いだろう。約10日間の隔離生活を終え、息つく間もなく、3日間の特別国会をこなしている。

 本来なら、ここで夏の休暇を取って、その間にじっくり政策を読み込んだり、練り直したり、地元で挨拶回りをしたりする議員も少なくないはずで、一年生議員の彼も同様の構想があったのかもしれないが、そうもいかなかった。

エゴサーチ

 と言うのも、ここから映画撮影に入っている。これは出馬する以前から決まっていたもので、何と主演だった。詳細は、件の「日記」を読んでもらえたらわかるが、選挙戦に劣らず過酷な現場だったことが窺えた。ある日のスケジュールなど、早朝の新幹線で京都に向かい、そこから車で2時間のロケ先へ。午前から夜までぶっ通しで撮影を行い、また車に乗って京都駅まで戻って、最終の新幹線で帰京するというものである。
「そんなスケジュールは入れるやつが悪いんだ」という非難も当然あろうが、誰より本人がそのことに敏感だったはずだ。

 そうでなくても、彼にはれいわの支持者からも少なからず批判の声が寄せられていた。「水道橋博士が出馬したことで、他の比例の立候補者が割を食った」という言い分である。「後出しジャンケン」という声もあった。選挙戦の最中もそのことを気にかけていたのを、筆者は知っているし、エゴサーチが習慣付いている彼の耳に、それらの声が届いていないはずがない。

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