巨人ブランド凋落、FA選手「条件つり上げ」のダシ? 原全権監督「敬遠」でオフも惨敗危機
よりどりみどりから一転
プロ野球巨人がストーブリーグでも主役の座を逃すのではないかとの観測がここに来て浮上している。10月31日にフリーエージェント(FA)権行使に向けた申請手続きがスタートし、有力選手では西武の森友哉捕手が行使を表明した一方、楽天の浅村栄斗内野手は行使せずに残留が決定。日本ハムの近藤健介外野手は権利行使の可能性が高いものの、阪神の西勇輝投手も残留が濃厚。巨人は今季「育成」を掲げていた方針から一転、FA市場に乗り出す構えだが、高年俸選手で最大2枠を使い切れるかは微妙な情勢だ。在京セ・リーグ球団の編成担当者は「森、近藤の両取りもあり得るし、一人も取れない事態もあり得る」と惨敗含みと指摘する。
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チーム編成を含めた全権を握る原辰徳監督(64)は、かつて部下だった岡崎郁元ヘッドコーチのYouTubeチャンネルで「今年、ジャイアンツはほとんどお金を使っていない。今年は戦力補強という点で少々、貯金もあるようなので(球団が)使ってくれるということです。楽しみに!」と豊富な資金力をバックに大型補強に自信満々だった。
事実、今年のドラフト会議では、即戦力に計算していない高校生の浅野翔吾外野手(高松商高)を1位指名した。さらに梶谷隆幸外野手ら大量11選手を今後の育成契約を前提に、自由契約とし、批判を受けながらもFA宣言選手獲得に伴う人的補償対策にも抜かりがないはずだった。
「(これらの対応のため)FAで勝算があるのだろうと思っていた。今年は昨年に比べると、FA資格を持つ選手が豊作だった。原監督も遅くても9月にはFA戦略を球団と話し合っていた。今季は原政権下では初めてのBクラスで、オフは大補強を敢行するとみていた。よりどりみどりかと思っていたのだが……」(巨人担当記者)
「井納」戦力外の余波
阪神監督に復帰した岡田彰布新監督とオリックス時代の確執が囁かれていた西の残留が決まれば、大物では森、近藤にしか獲得の可能性がなくなる。巨人は今季、チーム防御率がリーグワーストの3.69で、特に先発投手陣が喫緊の課題だ。その次は衰えが目立つ坂本勇人内野手が守ってきた遊撃。これらの強化が進まない限り、来季のV奪回はおぼつかないのだが、選択肢は確実に狭まりつつある。
FA宣言した森は子どもの頃にそのジュニアチームに所属し、地元でもあるオリックス、さらに松井稼頭央新監督が就任した西武も全力で引き留める構えだ。近藤が宣言した場合も同様で、日本ハムのほかソフトバンクとオリックスとの争奪戦は必至とされる。
「争奪戦になれば、巨人有利とは言い難い。一昔前のような巨人のブランドへの訴求力が弱まっているからだ。むしろ選手サイドには、巨人をマネーゲームの中でダシに使う発想があるのではないか。資金力が豊富な巨人が出した条件をちらつかせて意中の球団から、より良い条件を引き出そうとする交渉術はセオリーと言える」(前出の編成担当者)
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