オリックス日本一! 育成出身「宇田川優希」登場でヤクルトを圧倒した「新時代の継投術」

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「勝利の方程式」の一角に

“翻意”した宇田川は、背番号「013」を背負った1年目こそ変化球のコントロールに苦しみ、ウエスタン・リーグでは1試合登板にとどまった。ところが今季に入り、フォームの体重移動を見直したことが功を奏した。

 ウエスタン・リーグ15試合で、14回1/3を投げ21奪三振。投球回数を上回る奪三振数は、パワーピッチャーの証明でもある。

 支配下選手登録を勝ち取ったのは、その登録期限直前の7月28日だった。1軍デビューは8月3日の西武戦、ちょうどチームの今季100試合目。ここでいきなり157キロをマークし、今季のパ・リーグ本塁打王・山川穂高とオグレディから三振を奪う鮮烈なデビューを飾ると、終盤戦の「勝利の方程式」の一角に入った。

 19試合で2勝1敗13ホールド、防御率0.81、失点したのはわずか2試合という圧倒的な数字を挙げ、チームの連覇を後押しした。

 ソフトバンクとの対戦となったクライマックス・ファイナルステージでも、第2戦で6回の1イニングを無失点、第4戦では2点リードの5回から登板し、2イニングを無安打で3奪三振。大学時代の152キロから、この2年で158キロまでスピードアップした右腕は、支配下登録からわずか3カ月にして、日本シリーズ出場の「40人枠」に入ると、今シリーズ4試合・5回2/3を投げ、被安打2の無失点。9奪三振という、圧倒的な成績を残した。

 ここで改めて繰り返すが、宇田川は7月までは「育成選手」だったのだ。さらに付け加えれば、1軍デビューが遅かったため、来年の新人王有資格者でもある。

球団日本人最速の「160キロ」右腕

 山崎颯一郎は、福井の名門・敦賀気比高から2017年のドラフト6位指名で、オリックスに入団した。その時の4位が宮崎・都城高の山本由伸。オリックスのエースとして君臨する右腕とは、同期生になる。

 19年のシーズン中に右肘のトミー・ジョン手術(右肘内側側副靱帯再建術)を受け、20年は育成選手としてリハビリを優先。1軍に初昇格した昨季は、日本シリーズ第5戦で先発した期待の星で、今季もリーグ戦の開幕3戦目で先発している。

 ただ先発しても、中盤を迎えて球数が80球前後になってくると、痛打される場面が目立った。今季も5度の先発で2敗。スタミナ面の不安なのか、集中力の問題なのか。

 それでも、1メートル90の長身から投げ下ろすストレートには、スピードも角度も十分ある。そこで中嶋監督は、9月から山崎颯をブルペンに入れた。

 ソフトバンクとの激しい優勝争いとなった最終盤の9月、救援10試合で1セーブ&7ホールド。ソフトバンクとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージでは、球団日本人最速となる「160キロ」もマーク。指揮官の見込んだとおりの適性を見せ、セットアッパーの地位を確立させた。

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