後世から見た2022年は物騒なのか、牧歌的なのか 10年前を振り返って見えてくるもの(古市憲寿)
十年一昔。今から振り返ると、10年前の世界は楽観に満ちていたように思う。
たとえば発足したばかりの中国の習近平体制には民主化を期待する声でみなぎっていた。父親の習仲勲が改革派知識人から高い評価を受けていたからだ。北京でも「習近平は父親をまねる」という声が多く聞かれたという(城山英巳「文藝春秋」11月号)。
金正恩が最高指導者になった北朝鮮にも似たような願望が聞かれた。金正恩はスイスへの留学経験があり、西側諸国の価値観を体現している。...