国防の要・岩国基地の周辺に上海電力がステルス参入のナゾ 複雑怪奇な転売スキームでメガソーラーを買収

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何度も転売

 さらに同年9月9日、合同会社SMW九州(以下、SMW九州)が東日本ソーラーに加入し、入れ替わるように一社開発77号が退社した。これで東日本ソーラーは上海電力日本の傘下に入った。東日本ソーラーを巡る売買では、SMW九州からの資金が債務者の合同開発77号を経由してSBI証券に弁済された。これにより、SBI証券は同じ日に岩国の土地に設定していた根抵当権を抹消した。

 一方、東日本ソーラーの履歴事項全部証明書からは、複数企業による「加入」と「退社」が繰り返され、何度も持ち主が変わってきたことが分かる。これを株式会社で例えると、東日本ソーラー株が何度も転売されて会社の所有者が変わったことと同じだ。会社の持ち主が頻繁に入れ替わることが、中国企業によるステルス参入の隠れみのになっている。複雑な手続きが繰り返されるウラで、中国国営企業の日本法人が東日本ソーラーを傘下に収めたのだ。

安全保障の観点から疑問の声

 続いて、SBI証券が上海電力日本による岩国メガソーラー買収と同じスキームを使った山口県柳井市の事例を紹介したい。

 登場するのはSBI証券と清和コンサル。19年10月31日、清和コンサルは、所有する一般社団法人開発53号(代表社員・戸谷英之/以下、一社開発53号)を通じて、柳井市でメガソーラーを運営する山口柳井メガソーラー合同会社(以下、山口柳井)を完全支配下に置いた(子会社化)。その際、山口柳井から株式会社ティーティーエス企画が退社し、一社開発53号が加入した。

 同日、SBI証券は清和コンサル内にある合同会社開発53号(以下、合同開発53号)に、極度額を計71億5200万円とする極度方式基本契約を締結し、融資を行った。これこそが岩国の例と同じスキームである。翌20年2月26日、SBI証券は山口柳井が持つ土地に地上権と根抵当権を設定し、5カ月後の7月31日に根抵当権を抹消している。

 奇しくもSBI証券と清和コンサルの2社が両方に関わった岩国市と柳井市のメガソーラー買収には、国の安全保障の観点から疑問の声が上がっている。それは岩国市で東日本ソーラーが運用するメガソーラーが、岩国基地から朝鮮半島方面に飛ぶ航空機航路の真下にある点だ。岩国基地は対中防衛の際の要(かなめ)であり、その基地を取り囲むように中国資本が用地を買収しているのは果たして偶然だろうか。

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