長澤まさみ「エルピス」にテレビマンが注目する理由 「いたたまれなくなった」との声も
元TBSのプロデューサー
「ドラマの制作スタッフからは『骨太で見応えがあった』という声が多いですね。なにせ、『エルピス』制作陣は曲者揃い。スタート前から業界では注目されていました」
まずは脚本家だ。
「渡辺あやさんはNHKの朝ドラ『カーネーション』などで知られていますが、島根県在住で山の中の古民家が仕事場という人。とにかく寡作な人で、これまでの手掛けたテレビドラマはNHKの作品だけでした。『エルピス』は民放初のドラマとなります」
プロデューサーも曲者という。
「佐野亜裕美さんはもともとTBSの社員でした。東京大学の文科一類に入学しながら法学部ではなく教養学部卒という変わり種で、特に希望もなく入社したTBSでは、当初『王様のブランチ』のADやフロアディレクターなどを担当していたそうです。その後、ドラマを作りたいと思うようになり、TBSのレジェンド・石井ふく子さんの下で『渡る世間は鬼ばかり』のADを務め、プロデューサーとなってからは『カルテット』や『この世界の片隅に』など人気ドラマに関わりました。当時から渡辺さんに仕事を依頼していたそうですが、海外事業部に異動となったためTBSを退社。『カルテット』の脚本家・坂元裕二さんの勧めでカンテレに転職し、『大豆田とわ子と三人の元夫』(脚本は坂元)を制作。今回、満を持して『エルピス』を作ることになったのです」
そして演出家も……。
リアルそのもの
「演出は長澤も出演した映画『モテキ』(主演:森山未來)を監督して賞を総なめにした大根仁さんです。テレビ東京で『週刊真木よう子』を企画したり、NHKの大河『いだてん~東京オリムピック噺~』も演出しました。以前は雑誌『週刊SPA』に連載も持っていて、それを読む限り曲者中の曲者です」
さらに制作するテレビ局。
「しかも制作は、在京キー局のフジテレビではなくカンテレです。現在、プライム帯で毎週連ドラ枠を持っている準キー局はここだけです。『GTO』や『鬼嫁日記』『結婚できない男』など、フジを凌駕するドラマを制作してきました。そのカンテレを“最後のユートピア”として選んだのが、佐野プロデューサーというわけです」
おかげでリアルなテレビ局が再現されているという。
「まず長澤がコーナーMCを務める深夜バラエティ番組の表舞台も裏舞台も、そしてセットもフロアも関係者もリアルそのものでした。自分がその中にいるのかと錯覚したほどよく描けていました。なんだか軽佻浮薄なバラエティ番組に鉄槌を下されたようで、いたたまれなかったという声も聞きました」
佐野プロデューサーは「王様のブランチ」の元ADだから、その辺りはよくわかっているようだ。
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