不倫、再婚、離婚の末に最初の妻と再々婚した44歳男性の苦悩 突然知った空白の4年間の秘密

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母はすみれさんの味方に

 家族と共に暮らしていたマンションを出て、とりあえず身の回りの荷物を持って実家に行くと、母が「ダメな男だね。あんたは」と息子を切り捨てるような言葉を投げてきた。入れ替わるように、母はすみれさんと同居し、雄浩さんは実家でひとり暮らしとなった。

「寂しかったんです、ひとりは。すみれは聞く耳をもたなかったし。雪絵に連絡して、もう離婚するからこっちに来ないかと誘いました」

 偶然、戻ってきた母に雪絵さんと一緒にいるところを見られ、とうとう離婚に追い込まれたのは、娘たちが小学校に上がる直前だった。

「すみれと娘たちは母とともに実家に住むことになりました。もともと住んでいたマンションは彼女たちには手狭だったので、僕が再度、そちらに越しました。離婚の条件はすべて飲みましたよ。マンションのローンは僕が払い続け、安くはない養育費についても承諾しました。養育費を払えば娘たちに会わせてくれると言ったのに、すみれは小学校の入学式の連絡も寄越さなかった。母も母ですよ、完全にすみれの味方だった」

 当てつけのように雪絵さんにプロポーズし、受け入れてもらった。ひそかに婚姻届を出したが、会社の後輩で雪絵さんの元恋人には「先輩が不倫したあげく、妻を追い出して僕の恋人と再婚した」と言いふらされた。当たってはいるけど、言いふらす話でもないだろうと彼は思ったという。噂を払拭するかのように彼は周りに目を向けず、ひたすら仕事をした。

「そんなときに限って仕事がやたらとうまくいくんですよ。新規の顧客開拓もそれまでなかったくらい成功して……。それでも社内ではなるべく目立たないようにしていたから、謙虚な人とまで言われるようになった。雪絵の恋人だった後輩はひっそり辞めていきました。悪いことをしたとは思ったけど、恋愛の勝負に勝ったという気持ちもありましたね」

 子どもに会えない寂しさはあったが、新しい人生をもう一度歩もうと雄浩さんは心に決めた。ところが仕事がうまくいくと、今度は家庭が怪しくなった。

「雪絵はすみれと違って甘えん坊でした。専業主婦になりたいと言ったのに、帰宅すると『寂しい、つまらない』と。『習い事をしたいけど、あなたの給料からあんなに養育費を払っていたら、私、何もできない』とまで言う。まだ若いんだし仕事をしたらどうかなと言ったら、『私は専業主婦が夢だったの』って。とはいえ、家事はどうやら好きじゃないみたいで、正直言って料理もおいしくなかった。料理教室に行ってみたらと言ったら泣かれました」

 気が合うと思っていたが、それは自分の思い込みだったのか。雄浩さんはだんだん後悔するようになっていった。

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