大阪桐蔭のエースと中軸打者は「指名漏れ」 甲子園を沸かせた選手がドラフトで評価が低かった“意外な理由”

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予想外の“指名漏れ”は大学生候補にも

 例年は、ピッチャーや内野手に比べると、外野手の評価は低くなりやすい。だが、浅野以外にも外野手を3位以内で指名する球団が非常に多く、9人の名前が呼ばれている。今年は“外野手の豊作年”だったことが、海老根にはマイナスに働いたと言えそうだ。

 ここまでは高校生について言及してきたが、大学生候補の指名でも驚かされることがあった。デイリー新潮の記事<「ドラフトで何が起きた? 上位候補選手が“指名漏れ”や“下位指名”となった裏事情」※10月22日配信>のなかで、立教大の大型セカンド、山田健太が予想外の“指名漏れ”になった点に触れているため、今回は、山田の件は割愛させて頂く。

 それ以外にも、指名順位が低くて、筆者が驚かされた選手がいた。明星大のエース、松井颯(巨人育成1位)である。松井は、首都リーグの二部所属ながら、コンスタントに150キロ前後をマークするストレートと、高い制球力が持ち味の右腕で、ドラフトの展開次第によっては、上位指名もあるかと考えられていた投手だっただけに、支配下指名で名前が呼ばれなかったことは意外だった。

社会人選手は育成指名できない

 これには“あるルール”が影響しているのではないかと、ベテランのスカウトが指摘する。

「松井は、どの球団も評価していたと思います。ただ、社会人の企業チームの選手は、育成で指名できないというルールがあるため、支配下指名が社会人で埋まり、それに松井は押し出された形だと思います。特に今年は、社会人のピッチャーを指名した球団は多かった。各球団も当然、想定する人数の枠がありますし、それを超えて、(松井を支配下で)指名するというのはなかなか難しい。ただ、最近は、今季、中継ぎでチームを支えた西武の水上由伸(2020年育成5位)やオリックスの宇田川優希(2020年育成5位)のように、育成で入団してもすぐに、一軍の戦力になっている選手もいます。松井も彼らに続く可能性は十分にありそうですよね」

 以上のような話から、単純にアマチュア時代の実績や人気で順位が決まらないということはよく分かる。それに加えて、プロが求める選手のタイプも、時代によって変わり、そのトレンドに乗ることができた選手が指名を勝ち取るとも言えそうだ。来年はどんな選手が高い評価を得ることになるのか。2023年のドラフト戦線にもぜひ注目してもらいたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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