「silent」目黒蓮は大勝利! 明暗分かれたジャニーズ秋ドラマに見る「健気男子」の兆しとは
Snow Manの目黒蓮さん主演の木曜ドラマ、「silent」が各所で話題だ。Twitterでは3週連続で世界トレンド1位を獲得。TVerの再生回数が民放歴代最高記録を樹立し、とにかく泣けると大人気である。
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フジテレビ、恋愛ドラマ、オリジナル脚本、主演がジャニーズ。正直言って、ここ最近の傾向では、批判されやすく数字が取れない要素だらけだ。しかし目黒さんらの好演もあって、放送するたびネットニュースを席巻。視聴率も右肩上がりで、期待の声は高まるばかりだ。
目黒さんだけでなく、今期はとにかくジャニーズドラマが目白押しである。山Pの後を継ぎ、2代目「クロサギ」となったのはKing&Princeの平野紫耀さん。また同じグループの高橋海人さんも、「ボーイフレンド降臨!」で主役に。Hey!Say!JUMPからは「親愛なる僕へ殺意をこめて」の山田涼介さん、Kis-My-Ft2からは「祈りのカルテ~研修医の謎解き診察記録~」の玉森裕太さんなど、各グループの人気者たちが大集結。さながら放送局をまたいだジャニーズ祭りの様相を呈している。
といっても、それぞれ明暗が分かれ始めてきたようだ。ぶっちぎりで20代女性の支持を集めた「silent」に加え、「クロサギ」も第1話の視聴率は9.2%と大健闘。放送後、TVerのお気に入り登録もあっという間に60万を超え、「祈りのカルテ」を抜いた。一方「親愛なる~」は、見逃し配信は好調だ。しかし今は視聴率とともに、減速ぎみという指摘もある。CMの「ビューネくん」のような「ボーイフレンド~」も、目の肥えたドラマファンには少し物足りないかもしれない。
あまりのジャニーズ勢の多さに、うんざりしたから見ないという声もチラホラ聞こえる。「ボーイフレンド~」では、三宅健さんやAぇ!groupの末澤誠也さんも名を連ね、ゴリ押しイメージを強めてしまった。さらに医療ドラマに至っては、「PICU」や「トラベルナース」など大激戦。しかも吉沢亮さんや岡田将生さんなど、実力派のイケメン主演だらけだ。ジャニーズだからといって、頭ひとつ抜けるには難しい状況である。
ジャニーズに問われる「カッコ良さ」のアップデート カッコ良さにこだわることがカッコ悪い時代に?
ジャニーズドラマを見ていると、二面性キャラ戦略が王道なんだなと思う。「金田一少年の事件簿」などのマンガ原作ものや、医療や弁護士などの専門職もの……要は、ふだんはボーっとしていても、いざという時には人並み外れた優秀さや冷静さを見せる役が多い。
それはジャニーズが、ファンからも世間からも愛玩動物のように見られてきたことへの反抗心なのだろうか。彼らが「どうだ、男っぽいだろ?」と言わんばかりの華麗な頭脳戦や戦闘シーンを繰り広げるたび、そういう芝居がかった演出こそが、「ジャニーズは演技が下手」というイメージを深めてしまうのではと危惧してしまう。今回も「記憶喪失の天才アーティスト役」とか、「実は二重人格で暴力性を秘めた男」などと聞くと、まだそういう中二病的な成分が無いと成立しないのか、と少しがっかりしてしまうのだ。
ただ先人たちの苦労もあって、近年はだいぶ幼稚な役者というイメージも薄れてきた。岡田准一さんが傷だらけで肉体改造に励み、草なぎ剛さんや二宮和也さんらは演技巧者と評判だった。彼らの少し下の世代が主演に並ぶ今、もはや「小手先のカッコ良い役にこだわる方がカッコ悪い」という反転が起きている気がする。兆しを感じるのが、ドラマでの「泣くヒーロー」の増加である。
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