地元愛で県に猛抗議する「浦和サポーター」 「選手がけがをしないためにも賛同すべき」の声も

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〈浦和の30年、県は何を見てきた?〉〈県よ!超法規で動け!〉〈JFAに忖度し地元の声を無視した結果失うものは何?〉〈これだけの県民の声を無視する街、、?〉〈大野知事、署名をお待ちしております。〉

 このように大書された無数の横断幕が掲げられたのは、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出を決めた浦和レッズの本拠地、埼玉スタジアム。

 浦和サポーターの熱狂度はJリーグ随一。7月には、禁止されている声出し応援を行い、注意を怠ったとしてクラブがJリーグ機構から罰金2千万円を食らったばかり。今回も“国葬反対”もかくやという盛り上がりで、スタンドでは署名運動も行われたという。

 何が起きているのか。

「ACL決勝は来年2月にホーム&アウェーで行われるのですが、この時期、埼スタは芝の張り替え作業に入るため使えない。彼らはそれに怒っているのです」

 とスポーツ紙サッカー担当記者が説明する。

「代替地として国立競技場か味の素スタジアムが候補に挙がっているようですが、埼スタを絶対視するサポーターに気おされ、クラブは発表できずにいます」

選手のためにも不可欠な作業

 埼スタを管理するのは埼玉県。そこでサポーターたちは県ひいては大野元裕知事に対して泣き落とし、というより冒頭に書いたような恫喝や脅迫に近い言葉で対策を迫っているのである。ネット上では、横断幕以上に過激な罵詈雑言が飛んでおり、クラブの公式サイトが「SNS上等での誹謗中傷について」という注意喚起を行っているほどだ。

「サポーター側は作業の延期を求めているわけですが、クラブが県の回答として明かしたところによると、“延期により10億円の損害が発生する”とのこと。そもそも張り替えは選手がけがすることなく快適にプレーするために不可欠な作業。選手ファーストの観点からすれば、サポーターも賛同すべきなのに……」

 実は、芝の張り替えは既に一度延期されていた。今年、日本サッカー協会(JFA)が、主管する日本代表戦を行うため、県に要請し受け入れられた。ゆえに、“国の言うことは聞くのに県民を蔑ろにするのか”というわけ。火の粉が降りかかってきたJFAは、

「田嶋幸三会長が、決勝を5月に行うようアジア連盟に要望書を送付しました」

週刊新潮 2022年10月27日号掲載

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