なぜ女流棋士は男性に勝てない? 里見香奈女流五冠の敗戦…林葉直子が改善点を指摘
競技人口の差
その上で、棋界の構造的な問題を指摘する。
「能力に男女の差はありません。事実、里見さんは編入試験の資格を得るまでに男性を相手に10勝4敗の好成績を挙げている。では、なぜ女性の棋士がまだ生まれてないのか。ずばり、競技人口の差でしょう。今でこそ、子供大会で2割くらいは女子が参加していることもありますが、昔はゼロに近い数でしたから」
林葉もこれには同意する。
「私が11歳で奨励会に入った時、先崎君(先崎学九段)や羽生さん(羽生善治九段)が在籍していました。まわりは男子ばかりで居場所がなくて、よく女子トイレにこもっていました。ただ、今は街の将棋道場も禁煙になったりして、若い女性も指しやすい雰囲気になってきたんじゃないかしら。だから、里見さんみたいな力のある人が出てきてもいるのでしょう」
世の中には天分がありながら、将棋盤に向かうことのない女性たちが埋もれているはず。里見は今回限りで、プロ挑戦は断念すると表明したが、その指した一手は今後に展望を切り拓いた。