「若者の海外旅行離れ」という空論 コロナ禍が炙り出した「ネットが普及しても海外に行きたい」という事実(古市憲寿)
15年ほど前、「若者の海外旅行離れ」という議論がはやっていた。当時の学者や評論家は、したり顔でその理由を分析していたものだ。いわく「近頃の若者は内向きだから」「ネットで全てが済んでしまう時代だから」といった具合だ。
確かに若者の出国率が減少していたのは事実だ。1996年に24.6%を記録した20代の出国率は、2008年には18.4%にまで落ち込んでしまう。当時はちょうどインターネットの普及が本格化した頃で、簡単に世界中の情報が手に入る時代に旅離れは当然だ、という議論も違和感なく受け入れられていた。...