巨人・桑田コーチは「大勢」の連投をめぐり“クビ覚悟で”原監督に意見していた

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突如始まった「批判演説」

 そんな桑田氏を原監督はずっと煙たがっていたという。

「原監督が『真澄がうるさい』『アイツは投手に甘い』と人目を気にせず冗談交じりに周囲にぼやいていたのは有名な話です」(球団関係者)

 しかし、チームの不振が続くと原監督も背に腹を代えられなくなる。6月には連投を解禁し、終盤の9月に入るととうとう3連投を解禁すると発表した。

 それに不満を持った桑田氏は、9月中旬のある練習日、意を決して、番記者を前に「原批判」を始めたのだった。桑田氏は「個人的な考えです」と前置きしながらこう語り始めた。

「大勢は新人ですから、僕はキャンプの時から3連投と『回またぎ』はさせないと決めていた。メジャーではルーキーに対してそんなことありえませんから。僕は根拠を持ってそう考えてきましたし、学ぶべきところはメジャーからも学ぶべきだと思うんです。ただ、最終的に決めるのは監督なので……」

「あとは察してください」

 あからさまな監督批判だった。そして、こう続けた。

「チームの勝利は大事ですが、彼には将来もある。そもそもプロの世界で1年間投げたことがないんですよ? 初めての経験ですから、彼の将来を考えるなら、僕はそうしてあげたいと思っていたんですけどね」

 桑田氏はここまで言うと、「あとは察してください」と言って立ち去った。この時の様子を番記者はこう振り返る。

「淡々と語っていましたが、明らかに外に向けて『もう原さんにはついていけない』というメッセージを送っていました」

 別の球団関係者も「後で耳にしましたが、どうやらあの頃の桑田さんは、クビになっても構わないくらいの覚悟を持っていたようです」と明かす。

 もっとも、この「批判演説」は記事になることはなかった。

「野球記者は球団批判になるようなことは一切書けません。だから、このコメントを記事にした各社は忖度して、監督批判のトーンはすべて削って当たり障りのないような表現に書き換えています」

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