9度目の世界一になったR・マキロイ 「2歳で飛距離は40ヤード」の天才児がゴルフ界の牽引役になるまで
今やPGAツアーの顔的な存在である33歳のローリー・マキロイが、昨年覇者として臨んだCJカップ(10月20~23日、米サウスカロライナ州コンガリー GC)で自身の今季初戦を迎え、2位に1打差で大会連覇を達成。PGAツアー通算23勝目を挙げ、自身9度目の世界ランキング1位へ返り咲いた。マキロイが初めて世界一に輝いたのは2012年の春だった。以来、“世界という名の山の頂”から滑り落ちては這い上がることを繰り返してきたが、そんなマキロイの歩みには、世界のゴルフ界を牽引すべき立場となる「運命」が感じ取れる。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】
「すごい息子みたいだぞ」
1989年5月に北アイルランドのハリウッドという田舎町で生まれたマキロイは、地元の小さなゴルフ場でバーを経営していた父親ゲリーの影響で、物心つく前からオモチャ代わりにゴルフクラブを握っていたという。
「2歳で飛距離は40ヤード」
天才児の評判は町から町へ、国中へ、欧州一帯へと広まっていった。幼いころからニック・ファルドに憧れ、未来のスター選手を夢見ていたマキロイ。7歳のとき、全米アマチュア選手権3連覇を成し遂げた当時20歳のタイガー・ウッズの姿をテレビ画面で見つめながら、「ママ! 見て見て! この子、すごいよ!」と母親ローズィーに向かって叫んだそうだ。
以後、マキロイ一家の視線は米国に向けられ、父親ゲリーは息子を米国各国のジュニア大会へ連れて行った。そのたびにマキロイが収める見事な成績に驚かされ、「どうやらオレたちの息子はすごい息子みたいだぞ」と、自宅で待つローズィーに朗報を告げたという。
18歳でプロ転向。2009年のWGCアクセンチュア・マッチプレー選手権がPGAツアーのデビュー戦となり、いきなり堂々のベスト8入りを果たして世界を驚かせた。
翌年、クエイルホロー選手権(現ウェルズファーゴ選手権)で初優勝。2011年マスターズでは最終日を単独首位で迎えながら後半に大崩れして号泣したが、2カ月後の全米オープンを圧勝し、メジャー初優勝。それは、ゴルフ界の新たなるビッグスター誕生の瞬間だった。
そして2012年3月、ザ・ホンダクラシックを制し、自身初の世界ランキング1位に輝いた。その年は全米プロも制覇してメジャー2勝目を達成。しかし、絶対に欲しいと思っていた年間王者のタイトルは掴みそこなった。
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