藤井聡太五冠 竜王戦第2局で完勝 「自信がない展開」も見せた「横綱相撲」

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仁和寺の対局を制した者が竜王に

 勝った藤井は、「苦しい展開が続いた」「序盤からちょっと経験のない形になって、4五桂から仕掛けていったが自信がない展開になってしまった」などと話したが、「持ち駒が増えて少し好転してきた」とも振り返った。

 一方、敗れた広瀬は、「封じ手明けからあまり読んでなくて。悪くはないかなと思っていたが、2日目の昼食明けから苦しくなってしまった。見どころなく終わってしまったので、次局からはそういうことがないようにしたい」と話した。

 これで藤井のタイトル戦の戦績は36勝7敗。奪取・防衛と併せてタイトル戦にこれまで10度登場しながら1度も敗退はなく、連敗もない。今年は、永瀬王座との棋聖戦五番勝負、豊島将之九段(32)との王位戦七番勝負で開幕局を落としたが、その後、3連勝、4連勝して防衛を果たしている。今シリーズの第1局では広瀬に完敗し、タイトル戦としては3戦連続の黒星発進だったが、第2局に勝利するのも3戦連続である。

「過去3年の竜王戦では2局目の仁和寺での対局を制した者が竜王に輝いた」という、藤井にとっては幸先の良い、広瀬にはちょっと不吉なジンクスもある。

 第3局は10月28、29両日に静岡県富士宮市で指される。藤井は「しっかり内容を振り返って次局以降につなげていけたら」と話した。連勝を逸した広瀬は次局に向けて「見どころなく終わってしまったので、次局からはそういうことがないように準備して挑みたい」と語った。まずは4期ぶりの竜王奪回に賭ける広瀬が、次に2勝目を挙げてシリーズを再びリードできるか。
(一部、敬称略)

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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