【パ・リーグ】即戦力の新人選手総点検 ドラフト上位で合格点はたった一人だけ

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最下位は楽天

 35点で5位となったオリックス・バファローズは、支配下指名の7人中6人が大卒社会人組と極端なまでに即戦力補強にこだわった。その中で大卒ドラ2内野手の野口智哉は54試合に出場して、打率2割2分6厘、1本塁打、6打点に終わった。コンスタントに結果を残せず、1・2軍を行ったり来たりだったが、本職の遊撃のほか、二塁や外野にも挑戦し、出場機会を得て経験を積んだことは大きい。2軍戦でも4本塁打と長打力もある。積極果敢な打撃で来季はレギュラー奪取を目指したい。

 不運だったのが大卒ドラ1右腕の椋木蓮だ。春季キャンプ中のケガで2軍スタートとなり、7日7日にようやく1軍デビューし、プロ初登板初先発初勝利を飾った。続く試合では9回2死までノーヒットノーランという快投でプロ2勝目を得た。ところが4試合目の登板で右ヒジの違和感を訴え、2回途中で緊急降板してしまう。9月末にトミー・ジョン手術を受けたことが明らかとなり、リハビリのため、来季は育成再契約となる見込みだ。独特の腕の振りから投じる最速150キロ超の直球に多彩な変化球と、ポテンシャルの高さは確かなだけに、じっくり時間をかけて復帰してほしい。

 20点で最下位となったのは東北楽天ゴールデンイーグルスだ。支配下指名した7人中、3人が大卒社会人投手で1人が大卒捕手である。その中で大卒ドラ2の安田悠馬は“打てる捕手”としての期待が高かった。球団史上初となる新人捕手の開幕スタメンマスクの座を勝ち取ると、出場3試合目で早くもプロ初本塁打を放った。ところがその直後に新型コロナウイルスの陽性判定を受け、離脱してしまう。さらに左人差し指骨折のアクシデントに見舞われ、1軍に再昇格したのは9月の半ばだった。結局、わずか出場5試合で打率2割、1本塁打、1打点。秘めたポテンシャルは高いだけに、来季こそ正捕手の座を奪取したい。

 戦力になったのは大卒ドラ6右腕の西垣雅矢のみだった。開幕1軍入りを果たすと中継ぎとして起用され、計24試合に登板。23回2/3を投げて防御率2.66という数字を残した。来季は直球と変化球のコンビネーションにさらに磨きをかけて勝利の方程式入りを狙いたいところだろう。

 結果としてドラフト1・2位の上位組で完全に合格点といえるのは千葉ロッテの松川のみだった。大卒社会人を押しのけての大活躍は見事のひとことと言えよう。

上杉純也

デイリー新潮編集部

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