香港で日本のセクシー女優が売春逮捕 経験者が明かす“海外出稼ぎ”のギャラと客層
10月18日、セクシー女優の「愛沢のあ」が、売春容疑で香港警察に逮捕された。現地メディアの報道によると、尖沙咀(チムサーチョイ)地区で活動していた複数の外国人売春婦の1人が彼女だったという。『売る男、買う女』(新潮社)などの著書があり、自身も夜の世界の仕事で働いた経験のあるノンフィクション作家の酒井あゆみ氏は、こうした“海外出稼ぎ”は今後ますます増えるだろうと指摘。その実態を取材した。
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今回逮捕されたのは、2018年にデビューしたのち、19年に改名して再デビューしていた女優のようだ。経歴を売りに集客していたとも報じられているが、それほど知名度のあった女優というわけではなさそうである。
だが、アニメや漫画と同様、世界的に人気な日本のアダルト作品のおかげで、たとえ有名でなくても、「日本のセクシー女優」の肩書があれば、需要はグンと跳ね上がる。今回もその一例だろう(もっとも、「女優需要」は海外に限った話ではなく、日本でも地方の出稼ぎでしばしばアピールポイントになるのだが)。
風俗業に携わる女性の「出稼ぎ」といえば、大都市から地方へのルートが一般的だった。しかし、令和の今、「海外」に出稼ぎに行くという女性は少なくない。20年ほど前から海外出稼ぎもあるにはあったが、基本はドバイの石油王一択。それが近年は、派遣先のバリエーションもコーディネーターの数も、把握できないほどに広がっている。
海外出稼ぎが増えた背景のひとつはコロナ禍で稼げなくなったことがある。私が取材したセクシー女優も、まさに撮影減で稼げなくなり「所属プロダクションの仲介で出稼ぎに行きました」と語っていた。
ギャラに大きな差
現在の海外出稼ぎの代表的な地域は、アメリカならニューヨーク、ワシントン、ラスベガス、ロサンジェルス。ほかにはカナダのトロントやバンクーバー、スペインのイビサ島、などなど。国によって法律や休暇が違うので、出稼ぎに行く時期やシステム、滞在期間は様々だ。
しかし、どの国も共通しているのはお客の大半が中国人であること。中国人の客は「大麻で儲けた」と語る客がほとんどなのだという。そんな出稼ぎの元締めが現地の反社会的勢力であることも想像に難くない。
わたしが一年ほど前に取材したのは、セクシー女優の恭子(仮名)である。プロフィール上は21歳、実年齢は25歳。彼女が出稼ぎに赴いたのは、アメリカのシアトルだった。時期は2021年の前半頃だったという。日本でいうマンションヘルスのようなシステムの店で、女の子が生活する部屋に直に男性が来る形式だったそうだ。
今回逮捕されたセクシー女優は、出演歴を見る限り、“その他大勢”のひとりとして作品に出演する、いわゆる「企画女優」だった。現地報道によると客は6,000~7,000香港ドル(約11~13万円)を支払い、本人の手元に残るのは4,000香港ドル(約7万円)だったとされる。
一方、恭子は、作品名に名前を冠する「単体女優」で、ランク、ギャラでいえばトップ扱いの存在。デビューからの5作品は「1本75万円」だったそうだ。そんな彼女の出稼ぎでのギャラは50分で150ドル(取材当時およそ1万7,000円。以下、すべて取材時のレート)、二回戦をすると300ドルで、これにチップが加わるというもの。2人のギャラには開きがあるが、アメリカと香港、あるいは昨年と現在とでの需給、為替の違いなのかは不明だ。間に入っている「ブローカー」の抜き具合なのかもしれない。
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