「捨てろ」「捨てない」で大げんか… 高齢者が子どもともめずに家を片づけるテクニックとは

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60代のうちに大掛かりな片づけは済ませたい

 では、「片づけ力の壁」は何歳ごろに立ちはだかってくるのか。大規模な片づけができる最後の年代は60代です。70代、80代になると、例えば脚立にのぼって高いところにある荷物を下ろすのは難しくなります。脚立にのぼろうとして転倒し骨折、押し入れにある重い荷物を片づけようとして腰を痛めてしまう。やはり老いには勝てません。

 ですので、60代のうちに大掛かりな片づけは済ませておくべきでしょう。それまでに、よく使う生活用品と衣類だけを手が届く範囲に収納し、70代、80代はその状態の維持に努めるだけでよいようにしておく。これが理想です。

 そんなことを言われても、もう60代を過ぎてしまっているのに家の中が全く片づけられていない。そんな方はどうすればいいのか。あきらめる必要はありません。他人の手を借りて片づければいいのです。お子さんがいるのであれば、その手を借りるのもよいでしょう。

「片づけてもらっている」という事実

 ところが、ここで再び「片づけ世代間ギャップ」の問題が襲い掛かってきます。片づけがそれぞれの人生哲学のぶつかり合いである以上、親子間の「片づけげんか」が起きる危険は常に潜んでいます。そこで大事なのは、片づけ力が落ちた世代の方は、「片づけている」のではなく、「片づけてもらっている」という事実を受け入れることです。

 思うように体が動かなくなって片づけをお子さんに手伝ってもらっているのに、高齢者の中には、「子どもが親の家の片づけをするのは当然」と思っている方が少なくありません。そうした思いは口に出さずとも伝わってしまうものです。

 しかし、自分の子どもとはいえ、すでに独立した生活を送っていて、忙しい合間を縫って片づけを手伝いに来てくれるのです。ただでさえ、片づけ世代間ギャップが存在するのに加え、「子どもが手伝うのは当然」という姿勢では、売り言葉に買い言葉で片づけげんかに発展するのは無理からぬところがあります。

 ですので、必ず「片づけてもらっている」という意識を持ち、それをしっかりと表す。感謝の言葉を伝えるのはもちろん、子どもの行き帰りの交通費くらいは負担してあげたり、片づけが終わったらお礼としてごちそうするのもいいでしょう。とにかく、「片づけてもらっている」のですから、気持ちよくやってもらうことに気を使うべきです。

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