官邸「機能不全」で急浮上する「岸田総理」自滅へのカウントダウン 自民党幹部も「非常に危険な状態」

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場当たり対応の末路は

 支持率が低下する中での世論を気にした場当たり的な対応。冒頭の閣僚経験者のみならず自民党内では、岸田総理の責任問題に直結する可能性が指摘され始めている。自民党幹部はこう話す。

「岸田総理が一人で右往左往していて、自民党内には総理を助けようという機運がない。いわば『放置』だ。しかし総理大臣の発言は重い。民主党の鳩山由紀夫総理が普天間基地の移設先がほかに見つからなくて退陣したように、解散命令や被害者救済法案が決着しなかったら政治責任を取らねばならない可能性もあるんじゃないか。結局できませんでしたではすまない、非常に危険な状態だ」

 2010年、沖縄の普天間基地の移設を巡って鳩山総理(当時)は、アメリカという交渉相手もあるのに、解決の道筋を描けないまま「最低でも県外」というゴールと期限を明示して、実現できず退陣に追い込まれた。旧統一教会問題も解散命令は裁判所、被害者救済法案は野党を相手に承認を取り付けなければならない状況だ。結論に至る道筋はまだ見えていない。

 参院選に勝利して、国政選挙のない「黄金の3年」を手にしたはずが、岸田総理は坂道を転がるように追い込まれ、政権はダッチロールしている。しかし、旧統一教会問題のみならず円安や中国の問題など日本を取り巻く環境が厳しさを増す中で、政治には今こそ果断で的確な判断が求められている。今この国に、岸田総理を「放置」している余裕はひと時もないはずだ。

青山和弘(あおやま・かずひろ)
政治ジャーナリスト 星槎大学非常勤講師 1968年、千葉県生まれ。元日本テレビ政治部次長兼解説委員。92年に日本テレビに入社し、野党キャップ、自民党キャップを歴任した後、ワシントン支局長や国会官邸キャップを務める。与野党を問わない幅広い人脈と、わかりやすい解説には定評がある。昨年9月に独立し、メディア出演や講演など精力的に活動している。

デイリー新潮編集部

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