岸田首相の狙う「広島サミット」後に解散総選挙というシナリオが失敗に終わる理由

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批判のスパイラル

 岸田文雄首相を取り巻く環境は極めて厳しい。国葬、旧統一教会、円安による影響、原材料費の高騰や物価高、そしてコロナ禍。自身が招いた事態もあればそうでないものもあるが、いずれにせよ、首相自らの判断と国民の意識の間には相当なズレがある。信頼を失い、内閣支持率は右肩下がりを続けている状態だ。そんな中、首相が狙うベストシナリオが聞こえてきた。

「何をやってもうまくいかないという状況です。官邸も必死で、かつてないレベルで各省庁にあらゆる課題についてアイディアを出させている。かなりの無理難題も多く、関わった官僚らは不平不満ばかりを募らせていると言います。官邸の焦りを象徴するエピソードでしょう」

 と、政治部デスク。

「国葬はすでに終わったので、それにまつわる批判の声は収まっていくと思われがちですが必ずしもそうではありません。旧統一教会への首相の対応がブレ続けていることに加え、そもそも旧統一教会に関する“パンドラの箱”が開かれたきっかけは安倍晋三元首相の死でした。国葬はそこと関連しているわけですから、国葬批判そのものもなかなか収束しないように思います」(同)

官邸幹部の祈り

 もっとも、安倍政権時代でも、政権運営が危ない状況に陥ったこともある。しかし、幸運なことに、往々にして懸案とされた問題についての人々の関心が年を越すことで薄くなって行ったりした。

 このあたりの風向きを見つつ難を逃れ、野党の弱い頃合いを狙って解散総選挙に打って出ることで、安倍元首相は連戦連勝を重ね、歴代最長政権を誇った。

「国民に色んなことを“忘れてもらいたい”というのが岸田官邸の幹部らの偽らざる本音ではないでしょうか。祈るような気持ちといってもいい。今はとにかく守りの姿勢を貫き、そうこうしているうちに政権にダメージを与えないような話題に国民の関心が移っていくことを願っていることでしょう」(同)

 どの政権にも言えることだが、官邸幹部は常に政局日程と睨めっこを続けている。求心力をできるだけ長く高く保つため、解散という伝家の宝刀を抜くタイミングをうかがっているのだ。

「岸田さんの場合は、出身地・広島で開かれる来年5月のサミットが大きなタイミングだと捉えられています」(同)

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