気温40度、湿度98%で働くフンドシ姿の男たち……過酷な炭鉱労働の現場を70年前の貴重写真で振り返る

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気温40度、湿度98%の過酷な環境

 彼らが訪れた常磐炭鉱は現在のいわき市の温泉地に位置し、炭鉱のなかは気温40度、湿度98%にも上った。

「冷たいトンネルを通ってから、高温多湿の採掘場へ向かいます。そうすると、温度差によりキャメラは水に入れたみたいに濡れ、ボタボタと水滴が垂れて、なんともすごいところでした」

 過酷な撮影を思い出しながら、高岩氏が続ける。

「当時の炭鉱町は、活気で溢れていました。男たちはふんどし姿で石炭を採掘し、女たちはそれを選別します。子どもたちは商品にならなかった捨石が積み上げられたボタ山で、使えそうなものをせっせと拾っていました。今ではもう見られなくなった光景です」

 その後石炭の時代も終わりを迎え、常磐炭鉱は71年に閉山。この地は映画「フラガール」の舞台である「スパリゾートハワイアンズ」として生まれ変わった。

 時代に翻弄され続けた石炭には、この先、どのような未来が待ち受けているのだろうか。

撮影・高岩 震

週刊新潮 2022年10月20日号掲載

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