世界から笑われる日本のコロナ対策、どこで道を誤った? 病床1床の確保に2億円、高齢者に使われたお金と若者が払った犠牲
不正が横行した理由
しかも、協力金や支援金の支払い方にも問題がある。元日本銀行政策委員会審議委員で、名古屋商科大学ビジネススクール教授の原田泰氏が指摘する。
「各事業者の前年の売り上げを見て、その何割までを補償するとすべきなのに、売り上げの多寡にかかわらず一律の金額を配った。だから不正も多くなりました。確定申告に基づいて申請書を作成してもらい、それをあとでチェックし、違っていたら返してもらう。2~3割だけでもチェックすれば、かなりの不正抑止効果があったはずです」
都内のある飲食店主は、
「うちは2店あって、1店は客が少ないので不定期で営業していた。それでも休業すれば大店と同額がもらえるので、もちろん閉めて、ずいぶん儲かりました」
と言うが、そんな飲食店を支え続けた東京都を、国はじゃぶじゃぶとお金を注いで助けたのである。
倒産が減りすぎている
事業者を助けるための予算には、持続化給付金や雇用調整助成金もあった。前者は20年度に5.6兆円が投じられ、21年度は事業復活支援金と名を変え、2.8兆円が充てられた。しかし、大竹氏が語る。
「これら助成金のおかげで倒産件数は減少しましたが、減りすぎではないかと。長年8千件を超えていた日本の年間倒産件数は、20年に7773件。そして21年は6030件と、バブル期と同水準になりましたが、さすがに過剰な減少ではなかったでしょうか。コロナ禍に見舞われずとも倒産した可能性が高い事業者まで、助ける必要があったか、ということです。必要以上に倒産を防ぎ、非効率な企業を延命させると、コロナ後に日本全体の生産性を上げるべきときに、マイナスの影響を与える可能性もあり、大きな問題点です」
20年に2.7兆円の予算が組まれたGoToキャンペーン事業も同様で、
「コロナと無関係に業績が悪化していた観光業者まで延命させることになっていたとすれば、過剰だった」
という声が政府関係者から上がる。関東学院大学経済学部の島澤諭教授が加えるには、
「規制が緩和されれば、みなGoToがなくても旅行や外食に行くので、あえてブーストをかける必要はなかった。必要のない予算を使って、そのツケを将来に回しただけです」
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