巨人は浅野翔吾を「右の吉田正尚」と思っているようだが、これはちょっと違う【柴田勲のセブンアイズ】

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身長はどうってことない

 巨人史上も最も身長の低い(171センチ)ドラフト1位だそうで、本人もすこし気にしているようだ。だが、そんなことはどうってことはない。見るからにガッシリとした体格で胸囲は110センチ、太ももは64センチだという。足が速いのは足腰がしっかりしている証拠だ。

 古い話になるけど私の現役時代、170センチから175センチは普通だった。私、高田、黒江(透修)さんらがそうだった。178センチ以上だと大柄の部類に入った。浅野は体力的にもまず大丈夫だろう。

 実際のところ、今後、来春のキャンプ、オープン戦を通してどうなるか分からない。2軍からじっくりと育てようとなるかもしれない。だが1軍なら原監督は浅野を外野で積極的に起用してもらいたい。今年だって若い投手たちを我慢して使ったではないか。

 先の話になるかもしれないけど浅野が外野で「1番」に定着するようなら今後10年~15年は安泰だ。

来季の巨人が楽しみ

 浅野だけではなく、ドラフト2位で慶応大学・萩尾匡也外野手(21)を指名したのもポイントだ。強打の右打者で今年の東京6大学野球春のリーグ戦では5本塁打、秋のリーグ戦では打率・本塁打・打点の3部門でトップに立っている。

 ドラフト1、2位を外野手でいった。これは前述したように原監督が外野手の布陣の将来を考えてのことだ。また4位では創価大学・門脇誠内野手を指名した。今年の12月に34歳になる坂本勇人の後釜候補の1人だ。

 丸にしても坂本にしても今後衰えは隠せなくなる。まあ、いまは選手寿命が長くなり、野手は40歳くらいまではできるようなったが手を打ったということだ。

 3位には国学院大学・田中千晴投手(22)、5位で西濃運輸・船迫大雅投手(26)を指名した。投手は毎年1人くらい出てもらわないと困るからね。

 ドラフトはやはり1位、2位指名の選手がメインで投手に比べて野手が大きな戦力となっていくケースが多いと思う。

 来季の巨人、立て直しとともに浅野がどんな活躍を見せてくれるのか。いまから楽しみである。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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